ウーバーイーツの仕事を始めて、明確に変わったことがひとつあります。それは太ももが大きくなったということです。これがランニングにどう影響を与えているのかはわかりませんが、間違いなくパワーはついています。
悩ましいのは体重が増えたことですが、体脂肪は落ちています。そして先日のハーフマラソンでは自己ベスト更新をしています。そう考えるとパワーは必要ですので、ランニングだけでなくスクワットなどの筋トレも重要なんだなと実感しています。
理想は走る日と筋トレの日を設けることですが、忙しい人は毎日トレーニングというわけにはいかないでしょうから、1回の練習で筋トレもランニングも済ませたいですよね。そうなってくると気になるのが、筋トレとランニングの順番です。
筋トレが先か、ランニングが先か。実はどちらを先にするかで、得られる効果に違いがあります。そこで、ここではランニングと筋トレの順について、どうするのがベストなのか解説していきます。
筋トレをしてからランニングの順だと痩せやすい
筋トレをしてからランニングの順にトレーニングを行うと、脂肪燃焼効果が期待でき、痩せやすくなると言われています。理屈的には次のようになります。
- 筋トレをするとアドレナリンや成長ホルモンが分泌される
- ホルモンなどが分泌されると基礎代謝が上がる
- 脂肪が落ちて痩せる
筋トレをするとアドレナリンや成長ホルモンが分泌され、その状態でランニングをすると基礎代謝が上がるので、脂肪が落ちやすくなるというわけです。ただ、痩せやすくなる理由はもうひとつあります。
- 筋トレをすると脂肪が血液中に放出される
- 放出された脂肪をエネルギーにして走る
- 脂肪が使われてて痩せる
筋トレをすると中性脂肪が分離され、血液中に放出されます。この放出された脂肪はランニング時のエネルギーになるので、物理的に脂肪の量が減って痩せられるというわけです。
ただし、このときのランニングは負荷の低いものでないといけません。いわゆるジョグにした場合にのみ、脂肪燃焼効果が得られます。体に刺激が入って、温まっているのもあるのでついついスピードを出してしまいますが、それでは当初の目的を果たせなくなります。
もしトレーニングの狙いが減量であるなら、まずはスクワットなどの筋トレを行ってから、30分〜1時間程度のジョグを行うのが理想です。
ランニングをしてから筋トレの順だと心肺機能が向上
次にランニングをしてから筋トレをしたときの効果をお話します。
どの順でトレーニングをするにしても、わたしたちが持っているエネルギーには限度がありますので、どうしても先にやったトレーニングの効果が優先されます。筋トレをしてからランニングをした場合、筋トレで糖エネルギーを消耗しているので、ランニング時にはエネルギー不足を起こします。
その結果、ランニングでしっかりと追い込むことができず、トレーニングの負荷がどうしても下がってしまいます。
反対にランニングを先に行えば、体に蓄えられたエネルギーを優先的にランニングで使うことができるので、質の高いランニングトレーニングができます。しっかりと心拍数を上げられるので、心肺機能向上が期待できます。
そういう意味では、ランナーがトレーニングをするときには、ランニングをしてから筋トレというのがおすすめです。ただし、目的がパワーアップや減量なのであれば、ランナーでも筋トレを先に行いましょう。
筋トレとランニングを両立させるのは難しい
筋トレとランニングのどちらに比重を置くかで、トレーニングの順番が変わってくるとお話しましたが、そもそも無酸素運動である筋トレと、有酸素運動であるランニングは、トレーニングとしての相性はよくありません。
有酸素運動を行うと、脂肪が落ちるだけでなく筋肉も落ちてしまいます。通常は脂肪を優先的に使いますが、90分以上の有酸素運動を続けると、脂肪だけでなく筋肉もエネルギーとして使われ始めます。
実業団のランナーや学生ランナーの足が細いのは、走るのに不要な筋肉をランニングによって削り落としているのも、その理由のひとつとして挙げられます。わたしのように走って太くなるのは、まだまだ走行距離が足りないということなのでしょう。
いずれにしても、有酸素運動と無酸素運動はトレーニングとしてはあまり相性がよくない部分もあります。だからこそ、どちらを先に行うかはとても重要な問題になります。二兎追う者は一兎も得ずと言うように、両方の効果を得るというのはやめて、何のためのトレーニングかを考えた上で順番を決めましょう。
筋トレは必要ないという考え方の誤解
世の中のトレーナーの中には「ランニングで負荷をかければ筋トレは必要ない」と言っている人もいます。これを「ランニングに筋トレは必要ない」と受け取る人もいるようですが、それは大きな誤解です。
筋トレは必要ないという人たちも「起伏のある地形で練習すれば」というような条件をつけています。これは、室内で行う筋トレではないですが、実質的に筋トレと同じような効果があるので「筋トレが必要ない」としているのとは少し違います。
また「筋トレは正しく行わないと危険」と言う人もいますが、こちらも筋トレが必要ないと言っているわけではありません。「やるなら正しくやれ」と言っているだけで、効果がないとしているわけではありません。
実際に筋トレで走力が向上したという実験結果はいくつもあります。筋トレを取り入れた結果、ランニングエコノミーが向上したという報告もあり、パワーが上がったことでベーススピードが上がり、記録が向上するというのはほぼ間違いありません。
マラソンランナーが鍛えるべき筋肉
いざ筋トレをするにしても、闇雲にトレーニングしたのでは意味がありません。腕がムキムキになっても重たいだけで、走りにはマイナスにしかならないのは容易に想像つきますよね。きちんと必要な筋肉を鍛えてください。
- 大臀筋
- 大腿四頭筋
- 腹筋
- ハムストリングス
- 下腿三頭筋
- 背柱起立筋
一般的にはこのあたりを鍛えれば、走力アップにつながります。でも、実際にはあまり難しく考える必要はありません。高負荷の状態でトレーニングをしたときに、筋肉痛になる部分を重点的に筋トレしておけばOKです。
シリアスランナーのレベルになると、使っていない筋肉を使えるようにするために筋トレをするという考え方もありますが、普通の市民ランナーはレースで筋肉痛になる筋肉中心に筋トレしてください。
背筋が痛くなるなら背筋周りの筋肉、太ももの前が痛くなるなら大腿四頭筋と、自分の弱い部分を補う形で筋トレを取り入れてみましょう。
どうしていいか分からないなら、とりあえずランジスクワットでいいかと思いますが、筋トレは専門知識を持った人の指導がないと効率が下がるので、できればジムなどでトレーナーに相談するのがおすすめです。
もちろん、わたしでもいいですけどね。4月からパーソナルトレーナーを本格的に始動するつもりなので、それまでならビール1杯で教えますよ。
まとめ
わたしたち市民ランナーレベルですと、筋力の向上はダイレクトにスピードの向上につながります。マラソンのペースは筋力に比例して、体重に反比例する。この原理原則はとても重要であり、忘れがちなポイントでもあります。
ただ、順番を考えずに筋トレを取り入れると、心肺機能を上げられずに走力が低下することもあります。もっとも体重が落ちれば、それだけ速く走れるようになる可能性もありますが。
いずれにしても大事なのは「何のためのトレーニングなのか」を明確にすることです。そして、その目的を達成するために効率を最大限に上げるにはどうすればいいのかを考えましょう。考えない人はどこかで壁にぶつかります。
マラソンは42.195kmを走るスポーツですが、実際には42.195kmを走るためにどのような準備をしたかを試されるスポーツです。トレーニングの効率が1%違うだけで、1年後には大きな差になって現れます。
だから、筋トレを先にするのか、ランニングを先にするのか、きちんと目的に合わせて最適な順序でトレーニングメニューを組むようにしましょう。