
本来なら今日は万里の長城マラソンの開催日。きっと今年も様々なトラブルが起きて落ち込んで、でも仲間に支えられて笑顔を取り戻してという1日になっていたはずですが、新型コロナウイルスの影響でもちろん中止になっています。
5月1日に日本にいるのはいつ以来でしょうか。2010年の5月1日は日本1周ランニングを始めたばかりで、千葉に居たので10年ぶりということになります。10年ひと昔と言いますが、もう昔になってしまうほど前のことなんですね。
走れないなら、せめて自分の想いくらいは綴っておこうかと思います。
ただの参加者として始まった万里の長城マラソン

2011年のGW。最初はバンクーバーマラソンに出るつもりでした。初海外マラソンなので評判のいいところがいいと思ったわけです。でも飛行機の値段を見てすぐに無理だと判断しました。27万円くらいしたような記憶。行けるわけがありません。
そこでGWに走れる大会を探したら万里の長城マラソンを見つけたわけです。すでに中国が好きだったわたしは、躊躇することなく申し込みました。
ただ通常のマラソン大会ほど事務局がしっかりしておらず、本当にエントリーできたのかどうかすら怪しい状況で、不安を抱えたまま北京に向かいました。ちなみにこの年の参加者に後にラン仲間となった三州ツバ吉さんも参加しています。
当時のコースはロードの部分もあって、5時間30分で完走しています。
ただ、これまで走ったどんな大会よりもきつく、そして面白いものでした。こんな楽しいレースをもっと多くの人に知ってもらいたいと思ったわけですが、単純に紹介だけしてもエントリーなどで躓く人もいると思って、万里の長城マラソンのファンサイトを立ち上げました。
それが今の万里の長城マラソンHPです。万里の長城マラソンがGreat Wall of China Marathonなのに、万里の長城マラソンのサイトURLが「greatwallrun」になっているのは「本物ではない」ことを示すためでしたが、わたしが日本事務局を担当することになってしまったので仕方なく。
ちなみにですが、先月ようやくSSL対応し「https://greatwallrun.com」になりました。いろいろ直さなくてはいけないのですが手が回らず。サイトもリニューアル途中です。リニューアルが終わったら2020年秋大会のエントリー開始します。
万里の長城マラソンを広めるための活動

万里の長城マラソンの代表である朱さんは大阪で暮らしていました、日中関係が悪くなったことで日本人参加者が激減すると予想し中国に戻ることに。そのときにファンサイトを作っていたわたしに、日本事務局をしてほしいという依頼がありました。
その連絡があった翌日、有給を使って仕事を休んで大阪に向かいました。こういうところは昔から変わってないですね。
当時は会社員でしたので、自分に務まるか不安ではありましたが、誰かがやらなくてはいけないことでしたし、何よりも参加者が10人程度になるだろうという読みがあったので、即断で引き受けることにしました。
これが2013年のことです。
2014年の大会は案の定、日本人は12人しかいません。そこから試行錯誤でした。どうやって参加者を増やしていくかを考えて、チラシを作ってランステなどに置かせてもらった記憶もあります。RUNNING STREET 365を立ち上げたのも、実は万里の長城マラソンが関係しています。
万里の長城マラソンの広告を打ちたいけど、予算がありません。だったら自分でメディアを作ればいいじゃないかという発想。RUNNING STREET 365で有益な情報を流し、そこに万里の長城マラソンのバナーがあればみんなの目につくわけです。
現在RUNNING STREET 365は月間6万PVくらいですので、それだけ万里の長城マラソンのバナーが表示されます。それに加えて、参加してくれた人がどんどん大会を宣伝してくれるので、参加者が右肩上がりです。昨年はとうとう130人を超え、2014年の10倍にまでなりました。
北京を知ってもらいたいという想い

万里の長城マラソンの日本事務局を引き受けたとき、わたしは自分にブリッジランナーという肩書きを使っていました。まだランナーとしての参加も認めてくれていた(むしろそれが引き受ける条件だった)ので、日本と中国をつなぐランナーになるという意味です。
いまは秋大会以外は走りませんが、その想いは変わりません。
万里の長城マラソンを大きくしたいという気持ちはありますが、そのベースにあるのは「もっと多くの人に北京を見てもらいたい」という想いです。日本人はまだ中国を上から目線で見ていますし、あまりいい感情を持っていない人が多数です。
わたしの周りの人も、気を使って中国の悪口を言わないようにしてくれていますが、きっと中国にあまりいい印象を持っていない人もいるはずです。
そういう人に、まずは北京を見てもらいたい。好きになるか嫌いになるかは相性があるのでどちらでもいいのですが、北京って思った以上に楽しいところで、中国人って驚くほど親切だということを体験してもらいたいわけです。
万里の長城マラソンの翌日に無料のツアーを開催していますが、それも初めて北京に来た人に深く北京を楽しんでもらいたいという想いがあるためです。有名な観光スポットではなく、もっとディープな北京を歩いてもらう。
そして美味しいものを食べてもらって、北京を好きなってもらう。参加者が今度はマラソンに関係なく友だちを連れて北京に行く。そういう連鎖が起きるといいなと考えていますが、まだそこまでは至っていません。
万里の長城マラソンがこれから提供するもの

新型コロナウイルスの影響で中止になった万里の長城マラソン。秋大会は開催予定ですが、未来のことは誰にも分かりません。永遠に終息せずに、中国に自由に行けなくなる未来だって考えています。でも万里の長城マラソンについて考えるときは別です。
ダブルスタンダードにはなりますが、これに関しては必ずまた走れるようになると信じていますし、そこにむけて活動を続けています。インスタグラム(@greatwallrun)で万里の長城マラソンの写真をアップし続けているのは必ず再開できると信じているから。
でも、また少人数でのスタートになるのは間違いありません。何年もかけて100人以上になるまで継続する。でも前ほど難しいとは思っていません。すでに万里の長城マラソンを知ってくれている人がたくさんいるわけですから。
ただ万里の長城マラソンの魅力だけでなく、もっと北京の魅力も語っていく必要があるとは思っています。そのためには「北京観光といえば重松」と呼ばれる存在を目指したいところです。もちろん種蒔きはしっかりとしています。出かけた芽が全部摘まれた状況ですが。
今回の件で、中国は中国で大きく変わるはずです。でも、北京の人たちの優しさは変わりません。むしろ、今回のことで中国における日本のイメージは民間レベルではポジティブなものになっています。これはチャンスです。
万里の長城マラソンで、もっと現地の人と日本人参加者の距離を縮める。これが次のステップとして必要なこと。これまでは「楽しかった」で良かったのですが、ここからは1歩進んで「行かなきゃ損する」くらいの存在を目指します。
先は長いですけどね。とりあえず夢くらい語らせてください。5月1日は特別な日ですから。