ランニングペースとシューズ選び

昨日Twitterで次のようなつぶやきをしました。

もうちょっとユーモラスに書くべきだったと反省していますが、それはつぶやきの本質とはまた違った話で、ずっと前から思っていたことを書きます。シューズメーカーもランニング系メディアもキロ◯分程度で走るランニングシューズという表記をするのですが、あれは止めたほうがいい。

基準にはなりますが根拠はありませんし、間違ったシューズ選びにつながります。なぜそう断言するのか説明していきます。

目次

ランニングシューズを開発するときのターゲット

ランニングシューズは靴職人が自分の理想とするシューズを好きに作るわけではありません。ナイキが誕生したくらいの時代なら、まだそういう緩さがありましたが、いまはきちんとターゲットをイメージしてコンセプトを決めて開発します。

  • どのレベルの選手をターゲットにするのか
  • どのようなフォームで走るのか
  • どのような用途や出力で履くのか

少なくともこれくらいは決まっています。まずはターゲットですが、トップランナーとフルマラソン完走が目標のランナーとでは走力や筋力が違い、シューズに求められる機能も違います。さらに、フォアフットなのかヒールストライクなのかによってソール形状が変わってきます。

そしてどのような用途で使うのかもコンセプトの段階では決まっています。レース用なのかジョグ用なのか、インターバルなどのスピード練習用や短い距離のレース用なのかを決めて、それに合わせた機能を持たせます。

ただし、これは開発段階の話で、売るとなると話は変わってきます。販売フェースになるとできるだけターゲットを広げたほうが売れるので、コンセプトを無視して「どんなレベルの選手にも合う」なんてことを言います。これは本当にやめたほうがいい。

ナイキのヴェイパーシリーズのように、結果的に誰が履いてもタイムが縮むシューズもありますが、実際には「走力・フォーム・用途」が決まっていて、それに合ったランニングシューズを選ぶのが理想です。

同じペースでも同じ出力ではない

ここで最初のTwitterのつぶやきに戻ります。最近、ランニングシューズのリリースなどでトップランナーが「自分はキロ4分から4分半くらいで履いていて、疲労もなく長く走れます」といったコメントをしています。これを読むと「サブ3を狙うのにちょうどいいシューズだ」と判断しそうになります。

キロ4分15秒で42.195kmを走りきればサブ3を達成できるので、そう思いたくなりますよね。

でも、トップランナーは普段キロ3分ジャストくらいで走ります。スピード練習になるとキロ2分台です。そういうランナーにとってのキロ4分から4分半というのは、軽く走っている状態で出力にもずいぶんと余裕があります。でもサブ3を狙うランナーにとっては、そこそこ高出力になります。

そうなってくると前提が大きく変わってきます。例えばシューズがやや重たく作られていても、トップランナーは比較的抑えて走っているので、それほど重さは気にならないかもしれませんが、サブ3を狙うランナーには「重たい」と感じる可能性があります。

走り方も変わってきます。トップランナーもサブ3を狙うランナーも同じフォアフットの走りがベースにあるとして、トップランナーは余裕があるのでキロ4分くらいではミッドフット着地になっている可能性がありますが、サブ3を狙うランナーは全力に近くフォアフットになっていたりします。

トップランナーが「キロ4分15秒で気持ちよく走れたシューズ」は、サブ3を狙うレベルのランナーにとっての「キロ5分30秒で気持ちよく走れたシューズ」になるかもしれません(タイムは例です)。だから、トップランナーの言ったペースを鵜呑みにして購入すると「自分には合わなかった」なんてことが起きます。

自分に合ったシューズは自分で探すしかない

身も蓋もない話ですが、結局のところ自分に合ったランニングシューズは自分で探すしかありません。メーカーやショップ、メディアが提示しているペースを参考にするのはいいのですが、それはあくまでも参考です。絶対の数値ではありません。

シューズのコンセプトを確認し、自分の走り方や目的に合ったシューズを選ぶ。もしくは自分の走りをシューズに合わせるという方法もありますが、きちんとしたトレーナーがいないのであれば、走りをシューズに合わせるのはおすすめしません。

でも、自分の走りに合っているかどうかなんて、走ってみないとわからないじゃないかと思うかもしれません。その通りです。走ってみないと最適なシューズなんてわかりません。現在のランニングシューズの販売方法は、ある意味ギャンブルです。

2万円以上するような高機能モデルを試走もせずに購入する。そんな無茶苦茶な話が通るのがランニングシューズの世界。だからこそ、わたしはランステなどでレンタルシューズを借りるのをおすすめしています。最新モデルを借りて、1時間ほど走ってみて買うかどうか判断する。

それくらい慎重にするべきなのですが、裕福なランナーには「合わなかったから新しく買った」くらいの勢いて買ってもらって、シューズメーカーを支えてもらいたい。だからどんどん買って、自分に適したシューズを探してもらえれば……

自分に最適な1足を選ぶためのクリールシューズトライアル

宣伝みたいになりますが、やっぱり履いて違いを感じてもらいたいので、わたしが毎年参加しているクリールシューズトライアルを紹介しておきます。今年も開催が決まりました。

開催日時:10月31日(土) 10~15時(9時30分受付開始)
参加費:1,500円
会場:東京臨海広域防災公園
申し込みサイト:https://shoestrial2020.peatix.com

まだ参加メーカーが発表されていませんが、どのメーカーも危機感が高まっているので、思わぬメーカーも参加するかと思います。自分に最適な1足を慎重に選びたいという人は、ぜひクリールシューズトライアルに参加してください(決して回し者ではありません)。

ただ、わたしは今年は不参加です。予定があるのではなく、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の記録が必須だから。UberEatsの配達員なんて不特定多数と接触するわけで、なんだったら体調が悪い人がデリバリーを頼んだりすることを思うと、引っかかる可能性がかなり高いと自覚しています。

当日になって参加できないとか悲しすぎるので、不参加ということで。まぁこれは仕方のないことです。マラソン大会とかなら2週間ほどUberEatsの配達をしないという選択肢もありますが……10月にライティングの仕事で埋められるなら参加しますが、現時点では不参加かな。

それはわたしの個人的な話ですので、履いて走って選びたいという人は、ぜひ参加してみてください。4時間走り放題は楽しいですよ。

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