ランニングシューズメーカーのシューズが売れずワークマンやドン・キホーテのシューズが売れる理由

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ドン・キホーテから厚底×カーボンプレートのランニングシューズが発売になりました。税抜きで7,990円という破格で、ナイキのヴェイパーフライを彷彿させるデザイン。そして規定を12mmも超える52mm厚のソール。かなり気になりましたが、近くのドン・キホーテではすでに売り切れ。

RUNNING STREET 365でもレビューしたワークマンの「アスレシューズ ドリブンソール」もなかなかの人気のようで、レビュー記事だけでも1.2万ビューもあり、SNSでも購入して良かったという声がちらほら。まだ入荷していないお店もあるので、これからじわじわ売れていくのでしょう。

ワークマンのお店に私の写真が貼られているかもしれませんが、いたずら書きなどはしないように。それは冗談としても、ランニングシューズメーカーのシューズの在庫がだぶつき、叩き売りされている状態にあるのに、非ランニングシューズメーカーのシューズが売れるという現実。

これをどう考えるべきなのでしょう。ドン・キホーテのシューズはまだ履いていませんが、EVAソールなのでヴェイパーフライと比べると硬くて、反発性もないはずです。7,990円のシューズと2万円以上するシューズを同列に語るのはフェアではありませんが、ワークマンのシューズにしてもスペックは低いわけです。

どちらもいわばネタ枠になるシューズですが、こうやって話題になるのはランニングシューズについて、みんながそれなりの知識を持ち始めて、自分なりにシューズを選ぶようになったんだなとは思います。SNSやYouTubeでシューズについて語る人が増えたのもその要因でしょう。

YouTuberとネタ枠のランニングシューズは相性がよく、買うかどうか迷っている人の背中を押すのに最適です。しかもネタ枠のシューズはお手頃で、それでそこそこ走れたらカッコいいというおまけ付き。「そのシューズでそんなタイム出せるの?」と言われると、外向性の高いYouTuberなどは気持ちいいはず。

私の記事がバズったのも980円のランニングシューズでサブ3.5を達成したことにあります。確かにワークマンの980円シューズはサブ3.5を達成できるシューズですが、いまの私が履いて達成できるかというと無理でしょう。結局あのときの私がそれなりのレベルにあったというだけ。裸足でも4時間は切れるわけですから。

でも、そういう驚きが「ちょっと試してみよう」に繋がるわけです。以前はそれでお終いだったのですが、最近はそこからまた発信が連鎖します。インフルエンサーが発信して、それに刺激されて買った人が、自分なりの使い方やフィーリングを発信する。そしてバズるわけです。

ところがランニングシューズメーカーは、驚きを生み出すことができません。ナイキが厚底×カーボンプレートを発表したとき、記録が出るというのも合わさって話題になりましたが、多くのランナーは速さ競争に飽き始めました。当然です。下駄を履かせただけですから(シューズの話でこの表現は誤解を生む……)。

みんなが底上げされたら、そこでお終いです。しかも今は市民ランナーにとってスピードを出して走る機会もなく、自己ベスト更新のために2万円以上もするランニングシューズを買う理由がないわけです。だったら、ネタ枠のシューズで走ったほうが面白い。

この状況は必然ではありますが、歪んでいるとも思っています。ネタ枠が売れるのもきちんと開発されたランニングシューズがあってのこと。ものまねタレントはモノマネされる側がしっかりとしていないと、ネタの面白さが半減します。現状を考えればネタ枠ブームは1〜2年で終わります。

ただメーカーが復活するかというと、コロナ禍が収まらないことにはどうしようもなく、さらに日本メーカーはやはり驚きを与えられないと、新型コロナウイルスが収まってもこの状況から脱することはできません。選ぶ理由が「好き」くらいしかありませんので。栄枯盛衰……結局のところ、このひと言に尽きるかもしれません。

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