トレイルが好きなのですが、冬は夕方に走ると日が沈んでしまうのでほぼ山には入りません。昼に走ればいいじゃないかと思うかもしれませんが、冬に山に入らないのは、山の神様との契約みたいなものだと思っています。冬の山はどことなく神聖で近寄ってはいけないような感覚があり、その代わり春になったら全力で楽しむ。
基本的に冬の山は眠っているんだと思っています。動物が冬眠するのと同じように山も眠っている。そういうところに土足で踏み込むのは礼を失するわけです。同じ理由で夜の山にも基本的には入りません。山だって夜になったら眠るもの。人の家に深夜に訪れるのはマナー違反。
ただ、そんなことを言っていたらトレイルを走れないわけです。でも、ふと気づいたのですが、いつも走っている公園の横に小さな川が流れていて、その両岸が未舗装になっています。1周約1.6kmくらいでしょうか。折り返しでアスファルトになりますが、まずまずのトレイルです。
アップダウンはほとんどありませんが、ほどよく足場が荒れているので体幹を整えるのにもいいですし、足の細かな筋肉を鍛えるのにも使えます。路面もアスファルトよりは柔らかいので膝にも優しい。もっとも普段からウレタン舗装のコースを走っているので、柔らかさはそちらが上ですが。
6年も鶴巻温泉に暮らしていて、公園もメインで使っているのに、河川敷を走るというのは思いつきもしませんでした。まったく走ったことがないわけでもなく、なぜ今までトレーニングエリアとして認識してこなかったのかは分かりません。おそらく「今」必要だと体が感じたのでしょう。
走り方を変えたことが原因なのかはわかりません。ただ、今の走り方をイメージするときに「もっと不整地で走ったほうがいい」と体が訴えるのです。ケガを回避するためなのか、走りを固めるためなのかはわかりませんが、心の声は大事にしなくてはいけません。
都内で暮らしている人たちにないもの。それが不整地ではないでしょうか。1.6kmの不整地がある場所は限られています。代々木公園や駒沢公園でも難しいかもしれません(できるかもしれませんが)。東京はアスファルト天国で、土の道なんてほとんどありません。
これはランナーにとって不幸なことだと考えています。アスファルトのほうが速く走れるのは間違いありませんが、膝などにかかる衝撃の大きさを考えると、毎日トレーニングをする人の足はとてつもない負担がかかっていて、これにオーバートレーニングが重なるとすぐに故障します。
でも土の道なら、衝撃も少なく長い距離を走れます。アスファルトを走るよりも走行距離を増やせるので、足を鍛えやすくなります。よくランニングトレーナーが「アフリカでは……」と言いますが、真似て言うなら「アフリカではトップランナーも未舗装の道を走っている」わけです。
世界で戦えるランナーを日本から排出したければ、アスファルトを引き剥がして、土の道を増やす……なんて極論ですが、ランナーはトレイルも含めてもっと不整地を走ったほうがいいというのが持論です。今のトップランナーがどれくらい不整地を走っているのかは知りませんが。
でも市民ランナーの多くが、アスファルトの上ばかりを走っているのは知っています。これは正直あまりいい事ではないと、ランニングを教える立場からも思うわけです。アスファルトで走ってはいけないというのではなく、いろいろな路面で走ったほうがいいのではないかと。
そういう私がこれまで不整地で走ってこなかったので、説得力はありませんが。たぶんこれからジョグやリカバリーで、度々走ることになるとは思います。それで速くなるかどうかはわかりませんが、きっとケガを回避することはできはず。まだ絵に描いた餅ですが。
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