これまでも何度か書いてきましたが、マラソン大会はランナーの参加費だけでなく、スポンサー料や税金などを使ってなんとか成立しているスポーツです。このため受益者負担の考えからすると、マラソン大会の参加料が1万円程度というのは「安すぎる」と思いますし、マラソン大会の形としては歪だとは感じています。
もっともマラソン大会は経済効果も大きいので、自治体としては税金を注ぎ込んでも、実はその経済効果によって税収がアップして、大会によってはむしろ賢い税金の使い方になっています。スポンサーの収支はわかりませんが、メリットがあるから投資しているのでしょう。そういう意味ではWin-Winの関係にあります。
ところがコロナ禍ということもあり、マラソン大会の参加料が軒並み上がっています。
大阪マラソン2020:14,000円
第15回 湘南国際マラソン:14,500円
名古屋ウィメンズマラソン2021:26,000円
東京マラソン2021:16,500円
横浜マラソン2021:23,000円
湘南国際マラソンはまだ許容範囲内ですが、名古屋ウィメンズマラソンは2.6万円で、横浜マラソンは2.3万円です。名古屋ウィメンズマラソンはティファニーのペンダント付きですし、参加者を絞ったという理由もあります。でも横浜マラソンは参加人数は変わりません。
横浜マラソン2020の参加料が16,200円でしたので、7,000円近く上がったことになります。別に横浜市やウェルネスが儲けようとしているわけではなく、これでないと収支が合わないということなのでしょう。税金に関しては、経済効果によるリターンがあるので減ることは考えられません。
そうなるとシンプルにスポンサー料が減ったのでしょう。スポーツメーカーも厳しい状態ですし、地元の企業も決して余裕があるわけでもないですし、何よりも社内の反発だってあるはずです。大事なのは横浜マラソンが2.3万円で高いという話ではなく、横浜マラソンですら参加料を2万円以上にしないと成立しないというこの状況をどう考えるかということ。
マラソン大会を走りたければ2万円必要になる。そうなったとき、自分はどうするのかということ。確かに費用対効果を考えればまだお得なのはわかります。でも、2万円払ってマラソン大会を走りたいかと聞かれたら、普通に「NO」です。2万円握りしめて箱根越えをするほうが絶対に魅力的です。
個人的にはマラソン大会に2万円払う価値はないと思っています。これは人それぞれの価値観の問題ですから、どう考えるかは自由です。2万円でも3万円でも走るという人はいくらでもいるはずです。私が価値を感じないというだけのことです(それ以上の経費がかかっていることは当然わかっています)。
公園を42.195km走るのは無料です。東海道を42.195kmを走るのも無料です。エイドと完走証、参加賞、完走メダルなどを準備してもらってUberEats配達の2日分。これはちょっと割に合いません。2万円を秒速で稼げる人にとっては、大した金額ではないでしょう。でも1配達500円、1文字1.5円くらいでコツコツ稼いでいる私には高額。
なんか恨み節みたいになってきたので、きちんと話を整理しましょう。
- スポンサー収入が足りていない
- マラソン大会を開催するには参加費を上げるしかない
- 1人あたりの経費を考えると2万円でも割安
- 大会を走ることに2万円の価値を感じない(個人的に)
結局、個人がどう判断するかということになります。この参加費でも走りたいという人がいれば、この状況が落ち着いても1レース2万円が標準になります。参加者が減ったら見直されるか、もしくはマラソン人気が下火になるか。人類の歴史をさかのぼって推定すれば、きっとこれから進む道は後者。
マラソンはゴルフのように1部のお金持ちの遊びになり、そして気がつけばゴルフ離れが進んでゴルフ場は不良債権になる。マラソン大会もきっと不良債権扱いになる。ランニングに携わる者としては、かなり悲しい未来予想図です。でも1度上げた参加費を下げられるほどの柔軟性は期待できません。
もっとも、すべてのマラソン大会が値上げするわけでもなく、例えばこれまで1万円以下だった大会が1万円ちょっとになるくらい。これならまだ出ようかなという気持ちになりますし、そういう大会を選んで走ればいいだけのこと。そして何よりも万里の長城マラソンの2.5万円の割高感が薄れるというメリットもあります。
中国の物価の上昇を考えると、万里の長城マラソンもいつ値上げするかわかりませんが。いずれにしても参加料の値上げは避けられない未来で、それによって私のような貧乏人が出られなくなる大会が増えていくのでしょう。だから安くしろというのも無理な話なのは分かっています。
八方塞がりなんだという事実と、そこから目を背けないことが大切。私がするべきことは、そういったマラソン大会に興味がなくなった人を、ランイベントですくい上げるということ。まだまだやっていることは小規模ですが、いずれは自分が走ることができずサポートに回るくらいの規模にはしたいところ。
ここで情熱があれば「自分でマラソン大会を作る!」なんて言って立ち上がるのでしょうが、残念ながらそこまでの情熱はありません。マラソン大会は好きだけど、マラソン大会がなくても生きていけるタイプの人間ですし。ただ、ランニング業界が縮小していくことに対しては自分なりに抗おうかなと。
それくらいの恩義は感じていますので。
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