東京マラソンはどこに向かっているのか【事前手荷物預かりについて】

東京マラソンの運営はいったいどうしてしまったのでしょう。荷物預かりなしとしていたのに、急に有料で預かると言い出しました。しかも15,000人限定で、さらに抽選とのこと。ここ最近の東京マラソンは、天才的な誰かが仕切っていて、まったく穴のない素晴らしい対応をしていたのに、まるで数年前のひどい運営に戻ったような判断。

東京マラソン2022を中止にして、東京マラソン2021をスライドさせるという、想像の遥か上の対応をしたことで、仕切っていた人が運営から抜けでもしたかのような、ちょっと考えられない展開です。なぜこんなことになっているのか、記事を書きながら客観的に考えてみようかと思います。さてどんな結論になるのか自分でも楽しみです。

目次

事前荷物預かりサービスの概要

そもそも東京マラソンの荷物預かりなしなのは、コロナ対策とのこと。更衣室などを設けずに人と人との接触を回避する。これは時勢を考えれば仕方のないことかもしれません。ただ、実際には荷物預かりにボランティアスタッフを回せないという事情もあったのでしょう。コロナ禍のマラソン大会で難しいのはボランティアの確保ですから。

それはともかく、最初は荷物預かりなしで進めていたわけです。少なくとも2021年の秋に開催するときには、荷物預かりなしで話は進んでいました。これを急にオフィシャルパートナーの近畿日本ツーリストが、荷物預かりをすると発表しました。ただ、その内容が「そのサービスは本当に必要?」と思うものになっています。

  • 事前にゴール後の着替えを預けておく(宅配便で送付)
  • 料金は2,900円(沖縄は4,100円)
  • 抽選で15,000人が利用できる

内容はこんな感じで、スタートで預かってゴールで返却というものではなく、事前に送っておくというのがポイントです。指定の袋に入れるとのことで、袋のサイズは約57×40cm。そこそこのサイズではありますので、着替えが入りきらないということは無さそうです。

税込み2,900円の料金は割高か

まず価格についてですが、高いという声もありそうです。ただ宅配便で120サイズなら、北海道から東京に荷物を送れば2,000円くらいかかります。関東圏からだと1,600円程度なのでやや割高感はありますが、衣類を送って、ゴール後すぐに着れるなら、サービスとしては悪くない気がします。近畿日本ツーリストの利益になるなら、社員が仕事として対応することも可能ですから。

ただ、同じことを個人ですることも可能です。宅配便でコンビニ受け取りにすればいいだけ。事前に自分宛に着替えを送って、それを二重橋近くのコンビニ受け取りにしてしまえば、関東圏なら1,600円で同じことができます。着替えをコンパクトに圧縮すれば、もっと安くすることもできます。

そもそも、駅前のコインロッカーに前日のうちに預けてしまえは、もっと安く着替えを用意できます。そういう意味ではあえてお金を払ってやるようなことでもない気がします。もっとも世の中には2,900円なんて安いものと思える人もいるわけなので、高いか安いかを議論する意味がありません。ただ、安く済ませる方法はいくらでもあります。ここがポイントです。

ランナーに必要なのはゴール後の着替えではない

このサービスは着替えを預かってくれるものですが、ランナーにとっての問題はスタート地点に更衣室がなく、会場入りするまでの衣類や鞄などを預けられないということ。このため荷物預かりがあろうがなかろうが、ランナーの多くはリュックを背負って走ることになります。それは最初から言っていたことですし、新宿のコインロッカーに預けて、ゴール後に取りに来ることも可能です。

ただコインロッカーには限りがあり、どこも空いてない時には、やはりリュックを背負う必要があります。だとしたら、そもそもゴールに着替えを置いておく必要がありません。着替えは背負って走っているわけですから。ゴールで着替えが必要なのは、なんらかの方法でスタート地点に荷物を預けた人だけ。

走る格好で会場に向かうという人もいるかもしれませんが、そういう人はゴールした後もその格好で移動できます。雨か降っているなら話は別ですが。とにかく、ゴール後の着替えだけが必要というシチュエーションがあまり考えられません。もちろんあると助かるという人もいるはずですが、15,000人もいるのでしょうか。

コロナによる中止のときの対応がランナーに優しくない

今回の対応で1番良くないのが、コロナによる中止が起きた場合です。この場合には返金されることはありません。この費用は完全に運営側のポケットに入ることになります。そしてコロナによる中止を決めるのが2月上旬。事前荷物預かりサービスの入金期間が2月1日から2月7日。

事前荷物預かりサービスに入金した翌日に、東京マラソンが中止になるなんて可能性があります。いや、むしろ入金した人とそうでない人に差が出るのを避けるために、2月1日から7日までの期間に判断を示すことは考えられません。でも2月上旬に決めるなら、数日後に2,900円が没収されます。

また、このような情勢ですので土壇場になって中止にする可能性があります。この場合には、預けた衣類は宅配便で戻ってきますが着払いとなっています。2,900円プラスいくらかかかるわけです。踏んだり蹴ったりですが、そういうルールになっています。

秋までの運営陣ならこのような判断をしなさそうなのですが、どこで舵を切ったのでしょう。優秀な担当者が本来の秋大会までの契約でそれが切れたので、別の人が陣頭に立っていると言われてもおかしくないくらいの変化を感じます。

利用するメリットがほぼないサービス

東京マラソン事務局も優秀な人が揃っているはずなのに、なぜ?と思いたくなるようなサービスになっており、これを使う人が15,000人もいるのか疑問に感じます。利用者からの要望があったということなのですが、望まれていたのはそういうサービスではないはずです。

  • スタート地点で衣類は預かってもらえない
  • 2,900円ならもっと安く預ける方法がある
  • 中止になっても2,900円は戻ってこない
  • 発送後に中止になったら返送費用は自分負担

これだけのデメリットがあっても預かってもらいたいというのは、いったいどのような人なのかイメージは付きませんが、1000人くらいはいるかもしれません。そもそもこれらのデメリットを把握できない人も一定数いて、あとから苦情を申し立てることになるのも目に見えています。

とりあえず形だけでも用意したというところでしょうか。あとはコロナ禍で苦しいであろう近畿日本ツーリストに、少しでも利益を出させたいという思いがあるのか。輸送費を除いて1個あたり1,000円の利益なら15,000個で1500万円のプラス。焼け石に水かもしれませんが、社員数名は救えます。

15,000件も申し込みがあればですが、きっとよく分からずに申し込みをする人もいるのでしょう。これなら、スタート地点で預かるサービスを3,000円で始める人とかいそうな気がします。4人分預かって12,000円は悪くない稼ぎです。UberEatsがやればいいのに。

まぁ書きながら状況が分かったのが私なりの収穫。とりあえず、事前手荷物預かりサービスを利用するつもりだった人はデメリットをしっかりと把握した上で申し込みしてください。このサービスを使わない場合の対処方法はRUNNING STREET 365に記載していますので参考にしてください。

RUNWAY練習会開催中

効率のいい体の使い方を中心とした練習会を毎週水曜日に日比谷で開催しています。記録が伸び悩んでいる人や、ケガをしにくい走り方を身に着けたいという人のための筋トレ&走り方講座中心のトレーニングを行っています。

日時:毎週水曜日19時〜20時30分
場所:国立競技場外周
参加費:2,000円(第1・3水曜日は無料)
申込:こちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次