厚底ランニングシューズとワークマンのランニングシューズが売れることからわかること

いわて盛岡シティマラソンは途中までサブ3.5のペースで走っていたわけですが、サブ3.5のペースってキロ5分だからそこまで速くないんです。トップランナーはキロ3分で走るので、速いどころかむしろゆっくりに近いペースです。ところが、そのレベルでも周りを見渡すと厚底シューズが主流。

別に厚底のランニングシューズを履くなとか言いませんし、それぞれが好きなものを履けばいいとは思うんですが、ちょっとズレている感があります。厚底シューズを履いていながら、失速してしまい歩いているとかなると、もう意味がわかりません。なぜ自分に最適なシューズを選ばないのか。

今回、多くのランナーのシューズを見て感じたのは、アシックスとナイキが人気で、アディダスが弱いということ。アディダスよりもHOKAを履いている人の方が多かったかもしれません。アディダスはマーケティングが上手くいってない感じがあり、さらにカーボンロッドというテクノロジーに疑問を感じている人も多いのでしょう。

それはアディダスのシューズが悪いとか劣るという話ではなく、多くのランナーにとって「カーボンプレート」が正解であって、カーボンロッドはイレギュラーな感じに受け取られているのかもしれません。カーボンプレートのシューズを買っておけば間違いないという感覚。

ランニングシューズはかなり高額になっていて、失敗したくないという心理もあるのでしょう。ただ、ランニングシューズは「みんなと同じ」ではなく、「自分に合うもの」を選ぶべきです。結局のところ、何が自分に合うのか、多くのランナーがわかっていないのかもしれません。

いま日本でおそらく1番売れているのは、ワークマンのランニングシューズです。でもマラソン大会で履いている人は少数派。今回オーバードライブを履いている人は1人見かけただけ。1番売れているのにレースでは見かけないという矛盾。このことからランナーが2タイプに分かれることがわかります。

マラソン大会で頑張りたい人は厚底シューズを選び、ただ健康のために走りたい人はワークマンを選ぶ(もしくはHOKAとかOnとか)。そして、ランナーの割合として後者が圧倒的に多いということ。コロナ禍でランナーになった人は、今のところマラソン大会には興味がないのかもしれません。

健康のためとはいえ、普段から走っている人は42.195km走ることが、いかに大変かをイメージでき、マラソン大会にエントリーするのを躊躇しているのでしょう。参加費もかなり高いというのも影響しているはず。1足3,000円のシューズを選ぶ人が、参加費に2万円も払いたいとは思わないのは容易に想像がつきます。

ただ、それだけランナーがいるというのは、かなりポジティブな話。何かをきっかけにして、マラソン大会に興味を示してくれるかもしれませんし、そうなればマラソン大会はまた勢いを取り戻していきます。ただ、ランナー人口だけで考えていると、この業界は思わぬしっぺ返しをくらいます。

おそらく、多くのメーカーが「ランナーの数は増えている」を前提に計画を立てているわけですが、そこに期待して計画を立てると間違いなく過剰生産になります。なぜならそういうランナーはワークマンですべてを揃えるから。顧客候補にならないのにそこに期待をして失敗するわけです。

そして顧客になるはずの層も、失敗したくないから無難にナイキかアシックスを選ぶケースが多く、アディダスやミズノはかなり苦戦する。それ以外のメーカーになると、さらにシェアを広げにくいのが現実。この状態があと数年続くと、撤退するメーカーも出てくるかもしれません。

円安が進みすぎて、海外メーカーにしてみれば日本市場が以前ほど旨味がないというのもあります。シューズの価格はこれからさらに上がって、3万円台というものも出てきます。とても買えないという人はワークマンを選び、マラソン大会にも出なくなる。そんな未来がすぐ目の前に迫っているように感じるのは私だけでしょうか。

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