アディダスが発表した女性専用シューズ「PureBOOST X(ピュアブースト エックス)」の発表会の場で榮倉奈々さんが「ちょっとだけ裸足の感覚があるけど、裸足ではなしえないサポート感」と評しました。
榮倉奈々さん可愛いですよね・・・いや、それはどうでもいい。
裸足ランナー、ハダシストとしては聞き逃せないその一言。ブースト機能がついたシューズに裸足の感覚がある?言ったのが榮倉奈々さんじゃなかったら、ひどい言葉で罵ったかもしれない。(かわいいは正義)
別に裸足感覚で走れるって言ったわけではなくフィット感を「裸足の感覚」と表現しただけなんでしょうし、言わされているだけの可能性も否定出来ない。おかずクラブの発言だったらこんなフォローはしませんよ、もちろん。
さてここからが本題。最近のアディダスのシューズはほぼすべてブースト機能がついています。これってランナーにとってプラスなのかマイナスなのかというお話。
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ブースト機能ってなによ
このブログは裸足ランナー率が高くいまどきのシューズ情報に疎いかもしれないのでブースト機能について簡単に説明します。
BOOST(ブースト) クッション性と反発性を両立した革新的ミッドソールテクノロジー。バネのような新感覚クッションで、少ない力でどんどん前へ進みます。(adidas HP参照)
簡単にいえば、クッション性があるけど、反発するよ。そして今までのシューズよりもヘタらないよ。これがブースト機能です。そして注目されているのがその反発性。
ブースト機能のあるシューズを履くとグイグイ前に進んでいく感覚と、フワフワした感覚があり慣れないうちはかなり不安になります。わたしは慣れる前に手放しました。
ブースト機能はランナーを弱くする?
ここからは個人的な感想。
ブースト機能はランナーを弱くする気がするんです。わたしはカカトのケガがあって、ブースト機能のあるシューズを履いたのですが、それまではビブラムファイブフィンガーズで練習していました。
ビブラムファイブフィンガーズで走っているときは我ながら美しいふくらはぎだったのですが、ブーストで練習をするようになってから見るも無残なふくらはぎに・・・
ブースト機能があると自分の筋力を使わずにシューズの力で走れてしまうんです。それだけ優れたシューズということなんですが、ランニングで自分の体を鍛えているのに楽するってどこか矛盾してませんか?
オリンピックを目指すランナーさんならわかります。タイムで食べてる実業団ランナーさんや、人生がかかっている学生ランナーさんもわからなくはない。
でも一般のランナーさんは速く走るために走っているのではなく「自分の限界を超えたい」から「もっと強くなりたい」から走っているんですよね。ブースト機能のついたシューズを履くのは、自転車乗りが電動アシスト自転車で坂道を上る練習をするようなもの。
仮にブースト機能のあるシューズを履いてフルマラソンが10分速く走れるようになったとしよう。
「それで君は速くなったのか?」
この問に対してなんと答えればいいのでしょう。速く走るためのブースト機能は元エンジニアとしては興味深く、そしてすばらしい技術だとは思うものの、それで本当にランナーが強くなるかは疑問がある。むしろランナーを弱くしていないだろうか。
アディダスの戦略を考えてみる
多くのランナーを代表して言わせてもらおう。「高いんだよ、ブースト機能のシューズは!」
アディゼロ タクミ セン ブースト2:17,820円
アディゼロ タクミ レン ブースト2:16,740円
アディゼロ ジャパン ブースト3:15,660円
アディダスはブーストを導入して高価格路線へと移行しています。ちょっと消耗品とは思えないレベルの価格です。まじめに練習したら2ヶ月でソールが削れて走れなくなるシューズの価格とは思えません。
でも高機能だからまぁ仕方がないといえば仕方がない。でも高機能になって高いお金払って足を弱くして・・・いったい何をしているんでしょう。別にアディダスが悪いわけじゃなくて、これを履いて速くなったつもりになったランナーに聞きたい。
あと、新モデルが出たら半額近い値段になるのはどうかと思う。在庫管理が下手すぎるし、最初の値段で買ったランナーさんを馬鹿にしているとしか思えません。
「ブーストを履いたらランナーが強くならないかもしれない」という懸念は間違いなくアディダス内にもある。それを証明するのがアディゼロ フェザー2の存在です。わたしがおすすめして10日で壊したシューズです。
「adizero Feather RK2」はもっと評価されていいシューズ
「adizero Feather RK2」が早くも壊れたんですけど〜!
【続報】アディダス「adizero Feather RK2」は交換対応で決着
このシューズはブースト機能がついていません。でもスポーツ用品店のB&Dでは圧倒的に一番売れているランニングシューズだそうです。ターゲットは学生ランナーさん。要するに「鍛えるためのシューズ」です。
ブースト機能のついたシューズを売りながらも、ブースト機能がなアディゼロ フェザー2を大量に売っている。しかも本来アディゼロ タクミ レン ブースト2のターゲットになる層に対して売っているのです。
ブーストを否定はしないけど使い方は考えたほうがいい
邪推かもしれませんが、アディダスはブースト推しをしながらも、ブースト機能抱える「速く走れるけど弱くなる」という矛盾に気づいているのではないかと思わずにはいられません。
別にいいんですよ、ブースト機能ついてても。でもそれで速くなるのは最初だけだと思います。徐々に筋力が落ちてタイムも元に戻るはずです。鍛えられた足で履いてこそ自分の実力プラスアルファの結果を出すことができるのがブーストです。
普段はアディゼロ フェザー2のような機能が少ないシューズや裸足に近い状態で練習し、レース直前からブーストシューズに切り替えるのが理想じゃないでしょうか。
アディダスにしてみれば高いシューズがどんどん売れてくれることを理想としているのでしょうけどね。このままブーストシューズがランニングシューズのメインになったら、日本のマラソン界の低迷はこれからももっとひどくなる気がします。
そして市民ランナーも弱くなっていく。その先にあるのはランニングブームの終焉?
ブースト機能によってアディダスが描く未来像がわたしには見えません。
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