走りの基準を「タイム」から「自分の満足度」にシフトする

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高知龍馬マラソンで脱水症や熱中症で10人が病院に運ばれました。命に別状はないということでひと安心ですが、2人が心停止でAEDによる処置を受けたそうです。

いかに昨日の気温が急に高くなったかを象徴するような出来事でしたが、2月に20度を超えるという異常事態を、「めったにないことだから」で片付けるのは危険ですよね。きっと誰にでも起こりうるこの危険をどう回避するのか考えてみます。

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気温が高いとわかっているとき

スタート時の気温が10度を超えていると寒さもなく、気持よくスタートできます。でも記録を狙うという意味では最悪のコンディションです。マラソンでベストタイムが出るのは最高気温が10度以下のときです。

人によって暑さへの耐性が違いますが、気温が15度を超えるときは黄色信号、20度を超えたら赤信号だと判断したほうがいいでしょう。20度以上の気温の中、自己ベストを狙うのはPM2.5の中を走っている中国人を笑えないぐらい危険です。

しかも今回のように急激な気温の変化には体がついてきません。冬の日本からハワイに行って、いきなり走れと言われてもいつも通りの走りはできません。

最初から気温が高いとわかっているときは、自分がどれぐらい汗をかいているのかを注意して観察してください。いつも以上に汗が出ているなら、早めの水分と塩分の補給が必須です。

危ないと思ったらそこで止まる

熱中症や脱水症は「いきなり」やってくるものではありません。ほとんどの人が「急に走れなくなった」と言いますが、まず間違いなく体からの信号を無視していた結果です。

脱水症になる前は喉の渇きを感じるはずですし、熱中症の場合は軽くくらっときます。足に力が入らなくなることもありますし、手のしびれなどのサインもあります。暑い日は「自分が脱水症や熱中症になる可能性がある」と頭に入れて走らなくてはいけません。

ほとんどのランナーは反対で「自分だけは脱水症や熱中症にならない」と思って走っています。そんなわけありません、それぞれのコンディションの違いでいつでも誰にでも起こり得ることです。

体からの信号を無視する、もしくは気づかない結果が脱水症や熱中症で、命を失う可能性があるぐらい深刻な問題だと考えておきましょう。人の人生ですから命がけで走るのは止めはしませんが、本当に命を落とす可能性があることは覚えておきましょう。

体からの信号を受け取ったら、そこが限界点です。そこを乗り越えてこそのマラソンだと思いがちですが、そういうのは涼しいときにやってください。気温が高いときに無理をするのは自殺行為です。

速く走るだけがマラソンではない

そもそもマラソン大会で「速く走らなくちゃいけない」という楽しみ方しかできないから、コンディションが悪いのに頑張ってしまうのです。

ベストを尽くすのはいいことですが「その気温の中でのベスト」を尽くすべきであって、いつでもどんな状況でも自己ベスト更新を狙うのは愚か者のすることです。コースが違えば出るタイムも違います。

練習は嘘つかないとか、自分は常に成長していると思うのは自由ですが、コースの状況は常に変わっています。気温や湿度、風の向き。同じコースであっても同じ条件でマラソンが行われることはありません。

これらの状況の変化に合わせて自分のベストを尽くせるようになることこそ、マラソンを走る理由のひとつなはずです。タイムばかり追っているから無理が出ます。

マラソンを真剣に走るときは「今日のベストを尽くせたか」が自分の基準であるべきです。大事なのは納得の行く走りをしてゴールをすること。タイムはその結果ついてくるおまけのようなもの。そういう考え方にシフトしていきましょう。

3月に入ると気温が高いマラソン大会も増えてきます。暑さに負けて倒れるランナーも増えるでしょう。他人事ではありません。トップランナーでも、少しの判断ミスで脱水症や熱中症になります。

「今日は暖かいな」と感じるときは、すべてのエイドで水分補給と塩分補給を忘れないようにしてください。エイドに塩がないこともあるので、塩タブレットを持っていくのも忘れないようにしてください。

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