訪問日:2006年10月12日
おいらが名水百選というものを知ったのがこの柿田川湧水だ。社会人になってから9ヶ月ぐらいだろうか、静岡の三島に住んでいた時期があった。正確には三島ではなく駿東郡清水町。この清水町は小さな町なのに、日本有数の湧水が流れることで有名だったのだけれども、おいらはそれまでまったく知らなかった。ちなみにここだけではなく三島にはいたるところから富士山からの地下水が湧き出ている。その水にさらされたのが三島の鰻というわけだ。その鰻も引っ越すまで知らなかった無知なおいら…
柿田川湧水へのアクセスは簡単だ。数十分も山道を歩く必要もない。なぜなら柿田川湧水は国道1号線沿いにあるからだ。信じられないかもしれないけど、国道1号線の数m先で水がこんこんと湧いている。とはいえ、車を持っていな人にはなかなか難しい。三島駅から柿田川湧水まで歩けないこともないけど、普通は歩かない距離。だから電車で行く人は三島駅からサントームーン柿田川行きの無料のシャトルバスに乗るといい。サントームーン柿田川の南側、国道1号線を渡れば柿田川湧水のある柿田川公園だ。
柿田川は伊豆の大動脈である狩野川の支流のひとつになる。全長は1.2kmしかないが、どこを切り取っても絵になる美しさがある。たった1.2kmにもかかわらず、長良川・四万十川とともに日本三大清流に数えられている。そして、どこがどう秘境なのかは分からないが、日本の秘境100選にも選ばれている。
最大の見せ場は第2展望台から見える「わき間」だ。吸い込まれそうな透明感のある青色が訪れる人の目を奪う。おいらのようなタイプは何十分でもこのわき間を眺めていられる。実際に住んでいたころは何度も訪れてわき間を眺めていた。絶え間なく湧き上がる清流を眺めていると、心が落ち着くのだ。仕事がどれだけ大変でも、人間関係で悩んでいても全部この湧水が流してくれるような気持ちになれたのだ。
柿田川湧水の魅力はもちろんわき間だけではない。柿田川公園を散策しているとワクワクしてくる。文庫本を1冊手にして公園内のベンチで読みふけったり昼寝したり。いま思えば贅沢な時間の使い方をしていたんもんだ。
あまりにも身近になりすぎたのと、駐車場が有料になったのもあって最近は訪れていない。けれども、伊豆に初めて行く人や、いろいろ背負い込んで疲れている人を見ると連れて行ってあげたくなる。運がいい人は柿田川と富士山を一望できることもある。それはもう見事なもんですよ。おいらは1人で行くとなぜか富士山は見えないんだけど、誰かを連れて行くと富士山が見えるというジンクスがある。やっぱり誰かを連れて来いということなのか。
柿田川湧水を満喫したら、やはり締めは鰻でしょう。
三島には美味しい鰻屋さんがたくさんあります。地元の人に言わせれば「あそこはタレが甘すぎる」だとか「焼きが甘い」だとかいろいろあるのだけれども、それだけ地元に定着しているという証拠でもある。おいらが好きなのはすみの坊さん。他にも美味しいお店はいっぱいあるけど、お店との相性がいいのかここが一番落ち着くのです。自分好みの鰻屋さんを語れるようになったら、いっぱしの三島通。もちろん鰻だけじゃない、美味しいごちそうがあちこちにある三島。次の休日にでも出かけてみてはどうだろうか。
所在地:静岡県駿東郡清水町
アクセス:三島駅からサントームーン柿田川行きのシャトルバス
環境庁選定名水百選:柿田川湧水群
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