日本以外でもっとも好きな場所はどこかと聞かれたら、即答で「北京」と答えるのですが、もっとも居心地のいい場所はどこかと聞かれたら「台北」しか思い浮かびません。北京、上海、天津、香港、長春、瀋陽、香港、ソウル、バンコク、ホーチミン、サンパウロ、リオデジャネイロ、イグアス、カンクン、ハバナ、バラデロ…思い返せばそれなりにいろんな街に行ってるのですが、日常の生活の中で「あぁ行きたいなぁ」となるのは台北だけです。北京は大好きなのですが、ちょっと気軽に行くという感覚ではありません。いったい台湾・台北のどこにそんな魅力があるのか、おいらの文章力でうまく伝えられるか頑張ってみます。
台北の最大の魅力は食にあります。八角や香辛料が苦手な人には食べられるものとそうでないものがはっきりわかれますが、とくに気にしないのであれば、台北は世界でトップクラスに日本人の舌をうならせる美食の街です。おいらが北京で居心地が良いと感じないのはこの食の問題です。同じ中華圏なのに、北京と台北ではまったく違う中華料理が存在します。北京では高級店を除いてなかなか美味しいと思えるものに出会えませんが、台北はどこで何を食べても美味しく感じるのです。そして値段が安い。仲間でこれでもかというほど食べて飲んでも1人1500円も出したら、贅沢した感じがします。
誰にでもオススメできるのは小籠包でしょう。これを苦手という人をおいらは知らない。お店によっては烏龍茶の小籠包とか蟹の小籠包とかこだわったものが置いてありますが、ノーマルな小籠包が間違いなく一番美味しく感じます。そして、お店によってそれぞれ個性があります。だから台北に何度も足を運ぶ人はそれぞれに「ここが一番」と思えるお店を持っています。「どこの小籠包が美味しいと思う?」というのは台北好きにとって挨拶のようなものです。
おいらが今回行ったのは明月湯包というお店。地元民にも観光客にも愛されている名店のひとつです。これがまぁめちゃくちゃ美味しい。皮の厚さ、肉汁の味、すべてのバランスがすばらしい。世界の名店でもある鼎泰豊にはまだ行ったことがないのですが、ほかの名店や新興勢力と比べても格別の美味しさです。美味しい小籠包のお店は、他の料理も間違いなく美味しいんです。ここは小籠包のお店には珍しく焼き餃子もあるので、子どもも楽しめます。明月湯包の酸辣湯もこれまでに飲んだことのない上品さでした。でも一番美味しかったのは回鍋肉です。あんなに甘いキャベツを初めて食べました。
もちろん、小籠包だけではありません。夜市の屋台も味は…まぁ、いろいろありますがあの雰囲気の中だからこそ美味しく食べられるものもあります。日本人を苦しめる臭豆腐も、おいら1人なら絶対に食べます。あまりの臭さに数十メートル先でもお店がわかるのですが、クサヤと同じで慣れれば癖になる味です。台北にいるあいだはそんな感じでずっと食べている気がします。
実は、食に負けない魅力が台北にはあります。それは「人」。とにかく台北の人たちは親切です。日本人以上に日本人らしいという表現がしっくりきます。おいらたちが理想とする日本人のあるべき姿が台北の人の中にあるのです。地下鉄ではお年寄りや子連れに必ず席を譲ります。おいらは何度か友だちの息子を抱っこして地下鉄に乗ったら、必ず席を譲ってくれるのです。日本のように寝たふりする人や気が付かないふりをする人はいません。
マラソン大会の朝、スタートが7時ということでホテルを5時半に出発となりホテルの朝ごはんを食べられる時間ではありません。すると、チェックイン時に「パンと飲み物を用意しましょうか?」と聞いてくれました。用意されていたパンとオレンジジュースはファミリーマートの紙袋に入っていました。朝ごはんを食べられないおいらのためにコンビニまで買いに行って用意してくれたのです。相手のために何かをしようとするその気持ちが嬉しいではないですか。
台北マラソンで知り合った鄭隼さんはレース後に公式ページからおいらの写真を探してfacebookでその写真をおいらに送ってくれました。日本人にもそういう親切な人はいます。でも、米国を目指してきた日本人は日本人らしさを失いつつあります。台湾の人たちは日本を目標としたからでしょうか、日本人に近づいてきたのかもしれません。日本が統治していた時代の名残もあるのでしょう。鄭隼さんのおばあちゃんは日本人だそうです。そう、台湾には日本人の血を引く人が少なくないのです。そういう歴史はこれからもっと学ばなければいけませんね。
他にも街並みだったりとか、居心地の良さの要素はたくさんあります。でも、おいらにとっては食と人の存在が大きいのです。台北に行くたびにその思いは強くなります。つぎ台北マラソン以外で行くときは台北以外の街も見てみたいと考えています。いつか台湾を1周するのが夢です。もちろん自分の足で。まずは台北マラソンのフルマラソンを裸足で駆け抜けることが目標です。来年実行予定なので興味がある人はぜひ一緒に台北マラソンに行きましょう!
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