人があふれる嵐山で感じたこと【Go To トラベルとソーシャルディスタンス】

土日を利用して京都に行ってきた。両日とも万里の長城マラソン仲間と走る予定が、土曜日は小雨ということで観光。練習会を終えてから京都に向かったので、銀閣寺からスタート。すでに夕暮れどきで小雨というのもあって銀閣寺は人が少なくちょっとさみしい感じ(観光にはちょうどいい)。

Go To トラベルキャンペーンの影響があるとはいえ、やはり人が少ないのかなと思ったらもちろんそんなわけもなく、その日にふらっと入ろうとしたお店は「予約でいっぱい」とのことだったので、Go To Eatも重なって、京都の飲食店は思った以上の大盛況にある。

そういえばわたしが宿泊したベッセルホテルカンパーナ京都五条も予約で全室が埋まっている状況。そして翌日のランニングで向かった嵐山は、竹林の入口ですでに大渋滞。メインの通りからは人があふれて、飲食店はどこも長い行列。コロナ禍以前の賑わいが戻っているように感じる。

中国や韓国などからの観光客がいなくて、これだけの人がいるというのはちょっと驚きでしかない。表参道や原宿の人の多さは見慣れていたが、あのエリアは観光と買い物と仕事をしている人が入り混じっているので、街の色が雑多なのだが、嵐山を歩いているのはほぼ観光一色。

もうソーシャルディスタンスという概念はない。だが、こういう状況でもクラスターが発生しないということは、マスクさえしておけばクラスターなど起きないということなのだろう。満員電車が再開している東京でも、電車によるクラスターなど聞いていない。

反対に飲食店てクラスターになるのは、マスクを外して会話をするから。勘違いしないでほしいのだが、わたしはマスクを着用しようと啓蒙活動をしたいわけではなく、事実として容易に推定できることを語っている(相変わらずマスクは嫌いだ)。何も分からなかった3月や4月とはもう状況が違う。

Go To トラベルキャンペーンを推進するのは構わない。少なくとも嵐山や祇園周辺のお店は息を吹き返しただろう。こういうのを目の当たりにし、そして自身も実質1万円で1泊2日の旅を楽しめたことを考えるとありがたいキャンペーンだなと実感している。

だが、それに合わせてソーシャルディスタンスどうこう言うのは無理だ。Go To トラベルキャンペーンを実施しつつ密を回避する方法などない。国はもうソーシャルディスタンスの旗をおろしたほうがいい。以前も話したがダブルスタンダードは信用をなくすだけ。

もう誰も国のことなど信用していないかもしれないが。

嵐山は大勢の人がいたのだが、おそらく観光地でも偏りが出ているのだろうということも容易に想定できる。嵐山と同じようなことが日本全国で起きているとは考えにくい。人気スポットに人が集中していて、アクセスしづらい場所は人が戻っていないのではないだろうか。

沖縄や北海道といった、割安感の高いところも人が集まりやすいだろう。反対に人を呼び込める特色のない地域も出てくる。栃木県が最下位になったことで話題になった魅力度ランキングで下位になった地域がまさにそれに該当する。佐賀県や徳島県、そして栃木県にGo To トラベルを利用して行ったという人はどれくらいいるだろうか。

結局、すべてを救うのは無理なのだろう。限られた予算の中で救えるのはニーズの高い地域のニーズの高い施設だけ。京都にも営業を続けていくのが難しい老舗店がいくつもあるのだろう。国は絶対に「切り捨てる」なんてことは言わないが、「ここまでやったのだから、後は知らない」とするのだろう。

善悪ではなく、それが国を運営するということ。

どうしたって格差は生まれる。この国は社会主義国家ではないのだから。社会保障は必要だし、否定するつもりはない。ただ繰り返すがすべてを救うことはできず、人気の観光地だけが助けられた形になるのだろう。その恩恵を受けられず、ひっそりと終わりを告げる者もいることを忘れないこと。

わたしにできるのはそれくらいだろう。京都は楽しかった。また行きたいと思うし、実際に行くことになる。ただ、それはGo To トラベルが終わってからでもいいのかなと思う。わたしは人を見に行きたいわけではなく、美しい景色や空気感を楽しみたいのだから。

もっとも、嵐山などはもう静けさが戻ることはないのかもしれない。クラスターによって日本もまた自粛が再開されない限り、もう人が観光するのを止める方法はない。新型コロナウイルスのリスクを国が示せず、ダブルスタンダードで政策を推し進めているなら、わたしたちはもう自分で判断するしかない。

そうなると、動き出した人を止める術はない。だがGo To トラベルによって人が密集してもクラスターにはならない(起こりにくい)ことはすでに立証されたようなもの。むしろマスクを外すことになるGo To Eatのほうがリスクは高い。だが、こちらも大きなクラスターにはなっていない(隠されていなければ)。

もう1度、新しい生活様式を見直したほうがいいのではないかと思うが、そういうのは賢い人の仕事であって、わたしが気にすることでもない。わたしは自分がしたいことを貫くだけ。とりあえず我慢せずに好きなように旅をする。そもそも人混みが好きではないのでできるだけ避けるが、もう大人しくしているのは終了。

あの嵐山を見たら、自粛するのはバカバカしくなる。まだ忌中なのであと少しは以前から決まっていたイベント以外に出るつもりはないが、それが明ければ積極的にどこかに出かけるとしよう。ただ人の少ないところを選んでということになるが。

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