日本における中国共産党のイメージはすこぶる悪い。簡単に事実を隠蔽したり、軍事力により自国民を押さえつけたり。天安門事件の印象がいまだに強く残っているのかもしれないし、最近では事故を起こした新幹線を土に埋めたりとイメージの悪くなる話題に事欠かない。情報管理という意味ではTwitterは使えなしfacebookも使えない。そういう負の部分ばかりクローズアップされるが、決して悪政ばかりを繰り返しているわけではない。13億人を超える中国国民をいかに豊かにするか、中国共産党なりに試行錯誤を繰り返している。
中国のすごいところは「やる」と決めたことは徹底してやることだ。街づくりにしてもそう。三里屯を発展させるとなると、全力を上げて発展させる。地下鉄も導入するとなるとものすごいスピードで工事をし、使いやすいようにSuicaのようなICカードで乗り降りできるシステムを導入している。その「やる」が面白い報告性に進んだのが798大山子芸術区だ。東ドイツの技術援助に立てられた軍事工場跡を利用してつくられたアートスポットだ。アーティストの住居やアトリエが集中してて、街全体がアートになっている。
ちなみにおいらは芸術が全くわからない。美しい図面はわかるけど、美しい絵画はわからない。根っからのエンジニアだ。そんなおいらが798大山子芸術区に行く気になったのはそろそろ北京でも見るべき場所がなくなってきたからだけではない。軍事工場跡という言葉に吸い寄せられただけだ。工場や加工機械と聞くとついつい見に行きたくなる。そして話題のスポットでもある以上、見逃す訳にはいかない。中国人が何をよしとしているのか知ることは彼らの文化を学ぶことだ。
798大山子芸術区への行き方はなかなか難しい。詳細はググってもらえればいいが、東直門駅からバスにのるのが庶民のルート。ただ、これはちょっとハードルが高い。北京に慣れていない場合は素直にタクシーで行くのがよい。事前に行き先をメモったものを書いて渡せばさすがになんとかなる。もちろんおいらはバスで行った。地下鉄のICカードはバスでも使えるし、ICカードを使えばバス代が6割引きになる。普通は1元なので0.4元なので約6円ということになる。さすが庶民の足である、笑うしかない。
肝心の798大山子芸術区だけど、万里の長城マラソンの翌日に行ったので足はパンパンだし、軽い脱水症状が続いてて、到着後いきなり休憩となった。ここはおしゃれな感じのカフェが多い。アートを志す人達はお茶よりもカフェラテがお好みなのはどこの国でも似たようなものか。本来芸術とは欧米スタイルだけのことを指すのではないのだと思うのだけれども、アジアはその歴史からどうしても欧米を真似てしまうのがおもしろい。ヨーロッパやアメリカ風なものがおしゃれに感じてしまうのはある種の劣等感だろうか。
とにかくここは広い。広い上にやたらとたくさんのアトリエがある。そのほとんどが凡人のおいらには意味不明な展示だったりする。インテリアをあつかうショップも数多くあるのだけれども、どうやらおいらは中国人から避けられているっぽい。薄々気づいていたが、sousouスタイルは北京の若者にとっても奇抜すぎるのだろう。いつもならショップに入った瞬間にお客さんをのがすまいとしつこく店員さんがついてくるのにどこに行っても遠巻きについていくるか、関わらないようにするかだ。まぁ逆の立場だったらおいらでもそうするだろう。ただここは芸術の街、奇抜なぐらいがちょうどいいと思ったんだが…
展示内容や街の雰囲気は写真をみてもらうのが一番だろう。芸術は分からないが、歩いてて飽きない街だ。ツッコミどころはたくさんあるし、カメラを構えたくなるような対象がいくらでもある。アートもそうだし、やはり軍事工場跡というのがエンジニア魂をくすぐる。散策にはもってこいの場所ですね。おしゃれなカフェでランチというのは気が引けたので、中華なお店にしましたが、場所柄か1人で食べられるランチメニューが多くて助かります。まぁ味はね…味は気にしない。
街のあちこちでカメラを構えている地元っ子が多かったのも印象的。ニコンやキャノンの一眼レフで写真を撮りまくっている中国人。一部の人だけだとわかっていながらも、豊かになったんだなぁと思わざるをえない。いや、この街のような遊び心のある街が北京にあるということが素晴らしいと思う。中国はけっして圧政による管理社会というわけではない。そういう一面もあるが、もっと自由な面もあるのだと798大山子芸術区では気付かされる。そう頻繁に行くような場所でもないけど、またマラソンの翌日にふらっとやってこようかな。展示物もどんどん変わっていくみたいだし。きっと行くたびに違う顔を見せてくれる街だと思う。アートに興味がなくても工場跡に萌えっとしなくても一度は見ておいて損はない街だと思う。
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