朝起きた時点では少し頭が痛いというか、頭に違和感があった。よくない傾向だとはわかっている。でもエアコンにやられた可能性も否定できない。いや、そうだと思いたい。リタイアするのは簡単だ。まずは走って見てから考えるべきだと判断した。往生際の悪さだけは1流である。
とはいえ、普通に走れるとは思えない。走るという行為は体があるだけでは無理なのだとこの旅を通じて気づかされた。10キロとか20キロぐらいなら体を鍛えるだけでなんとかなる。60キロでも1日だけなら体ができていればなんとかなる。でも、60キロを続けるにはほぼ精神力の問題になってくる。精神力と表現すると根性や努力みたいな感じになるけど、実際は違う。精神力とは脳の安定した状態を継続する力のことだとおいらは考える。
走ることによって脳からはなんらかの信号が発生する。基本的には快適な信号だ。ところが長距離になると快適な信号と、不快な信号が混じり合うようになる。いちばんわかりやすいもので言えば痛みがそれにあたる。痛みの信号が快適な信号を打ち消すと走るのをやめたくなる。
普通に走ったのでは間違いなく不快な信号が上回る。そこでおいらは音楽を聞きながら走ることにした。普段は絶対にしない。まず音が聞こえにくくなって危険だし、体の声も聞き取りにくくなる。でも、片耳だけイヤホンをつけてみたら、意外といい。少なくとも頭の不快感は感じなくなった。なるほど音楽にも脳に何らかの信号を送っているのかもしれない。
とにかくおいらは走り始めた。そしてすぐに走り続けることができると確信した。ただ、もう一度熱中症になったらそこでおしまい。なので、慎重に慎重に走る。そして、12〜16時までは走らないというルールの徹底。実際やってみるとまぁ暇だな。昼寝なんかは1時間ぐらいしかできるもんじゃない。それでもしっかり体を休めたら、夕方以降の走りがちょっと違う感じ。
走行距離は48キロ。真夏の走行距離はこれぐらいが理想かな。実際は電車の都合で早めに打ち切ったから55キロはいけたかもしれない。60キロは走りすぎなのははっきりした。地元の美味しいものも楽しまなきゃもったいない。走るだけの苦行の旅にしちゃダメだ。どんな状態でも学ぶべきことがある。さて、明日は何に気づくだろうか。
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