田舎に残る人のつながりを現代を生きるわたしなりに築きたい

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先週のはじめに祖父が倒れ、金曜日に亡くなったという知らせを受けました。96歳でしたので、いつ亡くなってもおかしくはない状態で覚悟はしていましたが、さすがに心穏やかにはいられず。

母方の祖父で、家は島根の山奥にあります。金曜日の夜に夜行バスで広島に向かい、土曜日の通夜、日曜日のお葬式を終えて、本日ようやく戻ってきました。

金曜日の段階では、動揺が大きかったのか何をするにしてもうまくできず、いざ家を出る段階になって「財布が見つからない」なんて慌てるほどでした。ところが島根で過ごした時間のおかげで今はだいぶ落ち着いています。

とりあえずは、3日間で溜まった仕事は終わらせなくてはいけません。ただ書き物をしているときは自分の世界に没頭できますので、とりあえず問題はありません。問題なのは納期のせまった山積みの仕事の量だけです。

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とてもたくさん笑った2日間でした。

亡くなったのに笑うというのは不謹慎と思う人がいるかもしれません。でも自分が見送られるなら、こんなに笑ってもらえるのが理想だなと、わたしは思います。

祖父の家は島根の山奥で、とても小さな村です。それでも甲子園にも出場したことのある高校があり、若い人たちが決して少なくない村でもあります。

そんな小さな村ですので、お通夜もお葬式も地元の人たちで協力して行います。食事などはすべて近所の人たちが作ります。これは都会に暮らす者として新鮮な驚きでした。

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実は祖父の家では65年間一度もお葬式がなかったため、わたしはその村でのお葬式は初めての経験でした。みんなが助け合いながら葬儀を行う。そういうご近所さんのお互い様の意識がいまだにあたり前に残っていました。

数十年前であれば、日本のあちこちにそのような風習が残っていたのかもしれません。最近は限界集落などが増え、支え合いたくても、そこで暮らす人のほとんどが高齢者で支え合えない状況が多々あります。

反対に都会では、お隣さんの名前も知らないということも珍しくなく、ご近所さんが亡くなったからということで葬儀の手伝いをするようなことはまずありえません。

祖父のお葬儀に大勢の親戚が集まったことも驚きでした。例えばわたしの場合、親戚はいるもののそれほど深いつながりの親戚はほとんどありません。祖父のように親戚が集まって昔を懐かしむというようなことは期待できません。

きっとそれはわたしだけでなく、都会で暮らす人たちのほとんどがそうかもしれません。

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昔は良かったみたいなことを言うつもりはありませんし、濃い親戚づきあいを嫌がる人もいるかもしれません。でも、そういう人のつながりというのは純粋に羨ましいと感じました。

そして、わたしたちの時代だからこそできる人のつながりとはどんなものなのかと、少し考えてみたりもしました。

深い親戚づきあいがなくても、何かあったときに親戚のように頼りあえる関係を作りたい。何かあったときに小さな集落のように支え合えるコミュニティを作りたい。そう思うわけです。

どんな形であれ、わたしたちは1人で生きていくことはできません。

大なり小なり人に助けられ、そしてときには誰かを支えながら生きています。これを血の繋がりに関係なく、血の繋がり以上の絆にしてけないだろうか。そんな夢みたいなことを考えています。

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祖父や、その集落で暮らしている人たちを羨ましく感じました。

村にはコンビニだってひとつしかありませんし、自動販売機すらほとんど見かけません。都会のように飲み歩く繁華街もなければ、道行く人はみんな知り合い。とても窮屈かもしれませんが、とても魅力的です。

葬儀の間の空いた時間に、5年ぶりに村を散策してみました。

大きな夢を持って上京した祖父。その後、戦争の荒波に飲み込まれて、自分の思っていた人生を歩むことができなかったものの、この村で一生を過ごせたことは決して不幸なことではなかったはず。小さな頃に祖父や祖母と一緒に歩いた道を重ねながらそんなことを思いました。

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田舎だから残っている人と人のつながり。支え合うことがあたり前の小さなコミュニティ。わたしなりに、そういうものを築いていきたい。そんなことを感じた島根での2日間でした。

96歳まで生きられる自信はありません。ただ、その日を迎えた日に「いい人生だった」と思えるように、これからも多くの人との出会いを大切にしていきます。いや、これまで以上に大切に。

心にぽっかり穴が空いたというほどではないのですが、ちょっとだけ沈んでいるかもしれません。でもすぐにいつもの自分に戻ります。たくさん笑って、たくさん走って、自分らしく。

とりあえず今週末には祖父を想いながら美味しいビールを飲むために、山のように積まれた仕事を一つひとつ終わらせるとします。


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著者:丸山健二
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