わたしは政治には関心がない。こういうことを書くと叩く人もいるので正確に書こう。「今の政治に不満はない」。屋根と壁のある家で暮らすことができ、今日食べるものにも困っていない。理想通りの国ではないが、そんな国など世界中どこにもない。
そもそも国がどのような政策を立てようと、わたしがするべきことは今日を全力で生きることだし、大切な人を笑わせること。国がどんな状況にあろうともそれ以上でもそれ以下でもない。「今の政治に何も期待していないから不満はない」のほうが伝わるだろうか。
ただ、世の中の流れというものは読むようにしている。個人事業主は一瞬の判断ミスで生きていくための糧を奪われるので、この国がどこへ向かっているのかということくらいは感じるようにしている。そういう意味で総理大臣が変わるというのはとてもインパクトが大きい。
安倍首相が7年間で何をしてきたか。そんなことを検証するのは賢い人たちがすればいい。わたしのような吹かれて飛んでしまう存在は、これまでの流れから新しい流れに変わるときに、その潮目の変化を見逃さないようにして、安全な方に身を置くだけで十分だろう。
新型コロナウイルスは世界の潮目を大きく変えた。ライフスタイルが変わっただけでなく米中の関係が悪化している。世界中で新しい対立構造が出来上がっている。日本でも「和を以て貴しとなす」という言葉を持った人がほとんどいなくなった。
新型コロナウイルスによる潮目の変化におけるキーワードは「対立」だった。次々に生まれる対立の構図。それぞれが自分の正義を振り回す。こういうときに、フリーランスは対立関係に挟まれないように気をつけなくてはいけない。間違っても旗色を示してはいけない。
さて、問題はここからだ。この国の総理大臣が変わるというのは、間違いなく潮目が変わる。良い方向に変わるのか、悪い方向に変わるのかはわからない(。わかる必要もない。推定することで、逆に流れたときに対応が遅れてしまうから。
こういうとき、多くの人がポジショントークをする。自分に有利に働くだろうという前提が語るのだが、もちろん世の中はそんなに上手くはいかない。勝手に未来を読んでいる人は信用しないほうがいい。外れていたら黙り込み、当たっていたら「ほら見たことか」とマウントを取りたいだけだから。
大事なことだからもう一度書いておくが、潮目は間違いなく変わる。ただ、どう変わるかなんて誰もわからない。だから1人1人が判断して動く必要がある。少なくともフリーランスで働いている人間は。1年後にいま働いている仕事がなくなっている可能性だってあるのだ。
永遠に中国に遊びに行けなくなる可能性もある。反対に民間での交流が再開する流れになる可能性だって考えられる。どんなことだってありえるのだが、今の流れの延長線上をたどるということはない。アベノミクスなるものも終わるのだから。
潮目が変わるというのは、スポーツをしてきた人なら直感的にわかるだろう。サッカーでは流れがあるうちに得点できないと、流れが相手にいって失点することが多々ある。わたしが過去に体験した潮目の変化で、最も大きかったのがトリノオリンピックの荒川静香さんの演技直前だ。
なぜ潮目が変わったのかはわからないが、彼女がリンクに立った瞬間に明らかに彼女に風が吹いた。演技を始める前に金メダルはすでに決まっていたとわたしは思っている。同じような体験をしたことのある人もいるはずだ。
流れが見えるタイプの人は、次に何が起こるのかをある程度読めるようになる。わたしの場合は、サッカーでこぼれ球がどこに来るのかある程度わかる。きっと今は無理だろうが、サッカーが人生の中心にあった頃は、それは特別なことではなく、普通にできていた(ただの自慢だ)。
とはいえ遠い未来が見えることはない。サッカーであれば開始直後の流れをみてスコアを当てるくらいの近い未来が見えることはあるが、長いリーグ戦でどこが優勝するかなんてことはわからない。潮目は常に変化していて、未来はいつだって不確実だから。
本来はその不確実な未来に向けてビジョンを描いて、国がおかしな方向に向かわないようにするのが政治家の仕事なのだが、それは理想であり現実にいるのは政治屋だけだ。別におかしなことはない。有史以来、政治というのはずっとそういうものだった。
それでは潮目の変化に備えるために何をすればいいのか。言うまでもないが、最も大事なのがお金だ。最悪の未来を想定するなら、この国はもっと貧しくなる。仕事がなくなりフリーランスから稼げなくなる。そうなったときに、生きていくのにはお金がいる。
次に大切なのが人のつながり。フリーランスに仕事を与えてくれるのは「人」だ。人との関係を軽薄にしていると仕事はなくなる。勘違いしないでほしいのだが、お中元や残暑見舞いを送れと言っているわけではない。誰かの役に立つ存在になればいい。その方法は人それぞれなので、わたしが言うことは何もない。
最悪なのが「きっと大丈夫」と思考停止になること。政治に興味を示さない方が最悪だろうと言う人もいるかもしれないが、期待しないというスタンスなのだから仕方ない。フリーランスというのは暇じゃないんだ。政治のことよりも考えるべきことやるべきことが無数にある。
国がどうこう言う前に、自分の生活を支えなくてはいけないのだ。
そのために思考停止にならずに、自分で考えて自分で行動する。沈みゆく舟だと思えば、躊躇なく他の舟に乗り移らなくてはいけない。すでに潮目は変わり始めている。少なくともわたしにはそう見えている。だから1度だけ伝えておくために書いてみた。あとは各自で判断してもらえればいい。