いつだって片手は開けておくこと【困っている人を見て見ぬふりをしないために】

人はそれぞれ自分で抱えられる荷物の量に違いがあります。ただ、共通しているのは「限界がある」ということ。どんな力持ちだって、何トンも抱えることはできません。それは物理的にも精神的にも同じことで、たくさん持てる人もいればそうでない人もいます。

困ったことに、自分がどれくらい持てるのか把握するのは難しく、みんな自己判断で「これくらいかな」みたいに感覚的に取捨選択をしているわけです。その結果、本来持てる量をはるかに上回る量を抱えてしまって潰れてしまう。これまでそういう人をたくさん見てきました。

時々、マルチになんでもできてしまう人がいます。テレビタレントなんかも、バラエティ番組に出たり、舞台に上がったり、色々やっています。そういう人たちを見ていると、自分もできるんじゃないかと思うわけですが、もちろんほとんど不可能です。

少なくとも会社員をしている場合、可能性は一気に狭くなります。平日は仕事に追われていて、何かをするとなると休日になる。この休日を利用して、会社員ではない自分になる。不可能とは言いません。実際に実現している人もいて、そこから独立する人もいます。

でも、そういう人ってどこか狂気じみたところがあって、とてつもない努力をしていますし(本人は努力と思ってないことがほとんどですが)、会社員になる前の下積みがあったりします。要するに片手間で成功することなんて、宝くじに当たるよりも難しいんです。

ではフリーランスになったらマルチに活躍できるかというと、もちろんそうではありません。フリーランスだって生活のために働かなくてはいけません。何だったら会社員の倍は働くことになります。フリーランスに時間なんてどこにもないわけです。

そうなると基本的に何でもできるというのは、貧しさに耐えられる人か、もしくは余るほどお金を持っている人になります。私なんかは言うまでもなく前者で、貧しいけど経験を積みたいからマルチに何でもやった結果が激動の2023年になったわけです。

ただ、フリーランスになってみて、貧しさにも慣れてきたら、これも悪くないかなと思います。最新のiPhoneを買えなくても、人生においてほんの少しもマイナスではありません。むしろ貧しさはアイデアを豊かにしてくれるので、考察力が上がります。

ただこのタイプは社会的な成功を得ることはありません。貧しさを悪くないと思ったら、楽しいと思えたら、ハングリー精神や反骨精神は生まれないので。「なにくそ」と思える人が這い上がっていくのは今も昔も変わりません。私のような「まぁいいか」は大物にはなれません。

それでもこれからの時代は「まあいいか」で何でもやる人が重宝される気はします。自分のやりたいことが明確で、そこに向かって真っ直ぐに進む人に対して、俯瞰して物事を見られるので。情熱はないけど、求められたことを何でもそつなくこなす人材。

このとき大事なのは荷物をひとつも持っていないということ。誰かの役に立つには、自分の両手が塞がっていたのではどうにもなりません。片手にはすぐに手放せる荷物を持ち、もう片手は常にあけておく。そうしておけば「手伝おうか」を自然に言えます。

そして何でもやるから、結果的にマルチにあれこれやってる人になります。もっともやりたいことをマルチにしてるわけではなく、頼まれたことをやってるだけですけどね。それでも悪くはないものです。少なくとも信頼されているわけですから。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次