自分に適した走り方を見つけるコツ【自分だけの走りを見つけろ】

ランニングを教えるときに気をつけていることが1つあります。それは「最適なランニングフォームは人によって違う」ということです。おへそを肩甲骨側に軽く引き上げるみたいな共通のポイントはありますが、フォアフットかヒールストライクのどちらが適しているかは人によって違います。

最適な腕の振り方も、足の運びもランナーごとに違います。O脚のランナーもいれば、X脚のランナーもいて、みんなが同じフォームで走るなんてことはまず考えられません。それぞれのクセや特長を活かした走りを一緒になって探すのがわたしのトレーナーとしての役割です。

でも、自分のことは思ったよりも分かってないものです。昨日、久しぶりに山に入って裸足で走っていたときに、すっと「入った状態」になり、そこまで自分の体に合っていない走りをしてきたことに気づきました。今回はその自分の体に合った走りについてお話しようと思います。

目次

自分の骨格に合った走り方を手に入れる

わたしは足を真っ直ぐに伸ばしたときに、膝がまったくくっつかないO脚です。このタイプのランナーは膝の外側を痛めやすい傾向にあります。でもわたしは膝の外側を痛めることはありません。なぜなら、O脚なのに足の親指に意識を入れて走ることが多いから。

これは学生時代にサッカーをしていたときのクセで偶然の産物です。サッカーはフライングありの短距離走で、誰よりも早く反応し瞬時に加速することで相手よりも優位に立つことができます。体の小さかかったわたしは、とにかくこの瞬発力を鍛えました。このときに行ったのが「親指で走る」というトレーニングです。

足の指は親指が1番太く、大きな力を生み出すことができます。

ただ、これはO脚ランナーのランニングにおいてはかなり不自然な動きになります。O客なら、足の小指側のラインを使って走るのが定石になります。なのにX脚のように親指を使っていたので、足の運びにナチュラルさがなく、しかも無駄な力を使っていました。

こうやって文章にすると納得できるのですが、このクセをこれまで「仕方ないこと」「そこが武器になる」と考えていました。でも実際には改善すべきポイントだったわけです。

いつもと違う場所を走ることで自分の弱点に気づく

もっと小指側のラインを使うべきなのではないかと感じたのは、久しぶりに近所のトレイルを走ったときでした。久しぶりすぎてトレイルの走り方を忘れていたので、上り坂でいろいろと試していたときに、膝にエネルギーを溜めて開放させるという走り方ができることに気づきました。

正確には太腿の筋肉ですが、グッと溜めてパッと開放させることで、全身のバネを使って坂道を駆け上がることができました。ただ、裸足で走っていたのもあって、足裏の痛みで途中からその走り方を再現できなくなってしまいました。

せっかく手に入れた走り方なので、なんとかして思い出そうと試行錯誤しましたが、なかなかハマらず。でもそこで諦めずに再現しようと、いろいろな動きを試してみた結果、なんとか最初の感覚を取り戻しました。

このときに気づいたのが、足裏の小指側のラインをしっかりと地面につけるということでした。わたしはいつものクセで、トレイルでも親指を使っていましたが、それは足の筋力で走る方法なので、走る距離が長くなると消耗が激しくなり、トレイルでは後半に失速しがちでした。

でも、今回気づいた小指側のラインを使う走り方だと、足に無駄な力が入りません。そして点ではなく線で地面に触れているので、安定感もあります。何よりも足が無理をしていない感じがあって、ストレスなく走れます。

こういう気付きがあるのは、だいたいいつもトレイルを裸足で走っているときです。だからわたしは山が自分のトレーナーだと思っています。自分の走りを改善できる可能性は全部山が教えてくれます。

いつもと違う環境に身を置くことが気づきにつながる

わたしは基本的に練習環境をあまり変えません。理由は簡単で、現状把握をしやすくなるからです。前回のトレーニングと比較することで、何が強化され、どのような懸念点があるのかがわかりやすく、改善を考えたときにはそういう環境が理想だと思っています。

でも、大きな変化を求めたり、根本的な改善をしたりというときには、同じ環境というのが足を引っ張ります。新しい気付きが生まれるわけでもなく、現状維持で満足してしまう自分がいます。だから、何かを変えたいときには意図的に環境を変えるようにしています。

いつもと違うコースで体の声を聞きながら走る。わたしにとってのそれが、トレイルというわけです。

トレイルは不整地を走るので、思わぬことが多々起きます。いつもと違う体の動きをするので、きちんと体の声に耳を澄ませておけば、たくさんの気づきがあります。自分の悪いクセがわかることもあれば、効率的な体の使い方に対する気づきもあります。

ただトレイルというのはひとつの例で、人によっては砂浜だったり、階段だったりすると思います。わたしはトレイルで気づきやすいというだけのことで、大事なのはそういう場所がそれぞれにあるということです。

「上手く走れない」場所はたくさんの気づきがあります。もし自分の走りを変えたいと思うのであれば、そういう苦手な場所でトレーニングをしてみることをおすすめします。

レースがないからこそ自分の体と向き合う

東京マラソンを始め、多くのマラソン大会が中止になってから、ランニングへのモチベーションが下がっている人も多いかと思いますが、このマラソン大会がない時期はある意味ゴールデンタイムになります。マラソン大会に向けて体を作っていた時期なので、それなりに体の反応が良くなっています。

そういうときは体の声が聞こえやすく、そして自分のイメージ通りに体が動きやすいので無理なく改善できます。このタイミングだからこそ、自分の体としっかり向き合うことができます。これまでとは違った環境で走ってみて、気づいたことを自分の走りにどんどんフィードバックしていく。

それが自分に合わなくても、時間は十分にあります。

走りながら自分の体の声を聞くというのは、慣れていないとかなり難しい作業です。でも何も考えずに黙々と走っているだけですと、どんな声も聴こえてきません。小さな変化に耳を傾けて、それに対して自分なりにチューニングをしていく。

こういうことができるようになると、ランニングが本当に楽しくなります。自分の思い通りに体が反応し走りが変わっていく。これはフルマラソンを完走するよりも気持ちのいいことです。いきなり誰にでもできることではありませんが、まずはいつもと違う場所を走って、いろいろと試してみることから始めましょう。

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