お笑い芸人のたむらけんじさんがTwitterで次のような投稿をしました。
今、ウォーキングで普段から近所のお子様やご年配の皆さんが集まる川沿いの遊歩道に来ましたが、驚いてます。子供やご年配の横をマスクもしてないランナーがハァハァいいながら駆け抜けていく!アホランナーええ加減にせぇーよ!マスクなしで走りたいんやったらお前の家の中走りまくっとけ! pic.twitter.com/9437EvzgPx
— たむらけんじ (@tamukenchaaaaa) April 20, 2020
これに対してTwitterも5chも少し盛り上がったようですので、せっかくですからネタにさせてもらおうかと思います。
たむらけんじさんは悪者を演じているだけ
まず、たむらけんじさんの投稿ですが、言葉のチョイスはともかくとして、書いていることはとても正論です。「人が多いところを、走るならマスクをするべき」というのがこの投稿の本質で、それ以上でもそれ以下でもありません。
もっといい言葉があっただろうと思うかもしれませんが、これはすべて計算ずくなのでしょう。彼がもし「ランナーはマスクを着用してほしい」と言葉を選んで投稿したなら、さらっと流されたはずです。たくさんある発言のなかのひとつに紛れていただけです。
これでは彼のフォロワーにしかメッセージが伝わりません。彼は可能な限り多くのランナーに伝えたかったから、あえて自分が嫌われ者になるような、炎上するような言葉を選んだと考えるほうが自然です。そうすることで話題性が上がり、気をつけてくれる人が出てくればいい。
芸人ですから人気商売です。嫌われることは身を削ることですが、それもわかっていて反感を買う言葉を選んだのだと思います。実際にお会いしたこともありませんので、どういう人なのかは知りませんが、芸能界で生きてきた人ですから計算はできる方かとは思います。
実際に怖い思いをしてるけど口に出せない人の代弁者を買って出たのでしょう。だから彼にあれこれ言い返している人は、彼にまんまと釣られたわけです。おかげでランニングにマスクがいるかいらないか議論が巻き起こるわけですから。
議論になれば「気をつけよう」という人が増える。無視する人もいるかもしれませんが、マスクもしくはBUFFの着用率は上がるわけです。策士といったところでしょうか。自身の身を削ってまでの策ですので、なかなかできるものではありません。
ジョギングをしてもいいという言葉の真意
わたしが気になったのはそんなことではなく、ハァハァと息を荒くして走っているということです。わたしもそういう人を何人も見かけています。そういう人は安倍首相がジョギングや散歩はしてもいいという発言をしてから増えています。
ランニングをする免罪符をもらったとでも思ったのでしょう。大きな勘違いですので、はっきり言っておきます。いま許されているのは30分〜1時間程度の軽いジョグです。OKとなっている理由は、運動をしなければ体力が落ちて、免疫力も下がるからです。
もっと言いましょう。この状態が1〜2ヶ月で終わればいいのですが、1〜2年続くとしましょう。わたしたちはかつてない運動不足状態に追い込まれます。その先に待っているのは不健康な人ばかりの世界です。医療費がとんでもない金額になり、違った方向から医療もしくは国が崩壊します。
そうならないために、国は最低限の体力と免疫力を維持するためにジョギングと散歩をOKとしています。
今回のたむらけんじさんの投稿に同意して「こんなときに走らなくても」という投稿をしている人がいくつもありましたが、こんなときだから走らなくてはいけないんです。それはランナーだけでなくすべての国民が対象です。
もちろんランニングでなくてもかまいません。縄跳びなら10分でランニングの30分くらいの効果が得られます。でも手っ取り早いですし、誰でも簡単に始められます。本当はみんなが走って体力をつけて、免疫力を上げなくてはいけません(もちろん安全に)。
ただ、この状況がどこで終わるかなんてわかりません。5月6日に緊急事態宣言が解除になるというなら「こんなときに走らなくても」というのは正しい。でも来年の5月6日になっても解除されない可能性があるわけです。だとしたら、先を見据えて走っておくのも正解です。
少なくとも国はジョギングをOKとしている(長期化することも想定している)わけですから。
息を荒くして走るのは目的が違っている
話を少し戻しましょう。ハァハァと息を荒くして走っている人がいます。facebookやTwitterでは30kmぐらい走りましたみたいな投稿も目立ってきました。これはジョギングをしてもいいという考え方の真逆の行為です。
体力と免疫力を高めるためにジョギングはOKとされているのに、息を荒くして走ったり、長距離を走ったりするのは体に高い負荷を与えてしまい、一時的に体力が落ちますし、免疫力も低下して感染しやすくなります。
わたしは嫌われ者にはなりたくないので反感を買う言葉を使いませんが、息を荒くして走ることと長距離・長時間のランニングをすることは、ジョギングをしていいということの本質からはズレているし、愚かな行為だとは思います。
自分がウイルスの媒介者になるなんて、想像もしていないのでしょう。もしくは「それくらいでは免疫力が下がらない」と過信しているか。
ランニングで食べている人はまぁ別です。彼らは命を削って生活費を稼いでいるわけですから、免疫力の低下よりも競技力の低下のほうが恐ろしいのでしょう。その立場にないのでわたしにはわかりませんので、これ以上は語りません。こういうときでも鍛えなくてはいけない職業の人もいることだけは理解してます。
わたしが言いたいのは軽いジョギングはいいけど、高負荷なトレーニングをするべきタイミングではないということです。それでもやりたいという人を抑えるつもりはありません。それぞれに想いがあるのでしょう。ただ、それで何か起きても手を差し伸べませんが。
マスクやBUFFは自分を守るために着用したほうがいい
昨日のRUNNING STREET 365で、早朝に走ろうよというような内容のコラムを書きました。人も少ないし空気はきれいだし、他にもメリットがいっぱいで、ストレスを感じることなく走ることができます。そこでも触れましたが、人が多い場所を走るときはマスクなりBUFFなり着用したほうがいいです。
ひとつは飛散防止のためですが、最大の理由は歩行者に不快感を与えないためです。ランナーはどこを走ろうが自由です。個人的にはマスクやBUFFにそれほど大きな効果はないと思っています。でもマスクをせずに走っている人を見て不安になる人がいるわけです。
それがいいとか悪いとかではなく、そういう人が実際にいるわけです。「そんな人は家に閉じこもってろ」という人もいるようですが、そう思った人は気をつけてください。自律神経がかなり乱れた状態にあります。食生活と睡眠の質の見直しを。
不安に感じる人がいるなら、マスクやBUFFをつければいいだけです。それだけでいいんです。走るなと言われているわけでもなく(言っている人もいますが、その人も心が疲れているのでしょう)、ただそうして欲しいと言われてるだけ。マスクやBUFFをしたら命が削られるわけでもないので、着用すればいいんです。
それで丸く収まるわけですから。マスクをして走るだけで、歩行者から暴言を吐かれることもなくなります。これは相手を思う行為でもあり、自分自身のメンタルを守る行為でもあります。甲冑を身にまとうようにマスクを付けて心を守る。
たった1枚の布でそれができるのに、やらない理由がわたしにはわかりません。命令されるとやりたくなくなる気持ちはわかります。でも、みんなもういい大人じゃないですか。
そうはいってもマスクの常用はおすすめしない
せっかくなので言っておきますが、わたしはマスクはできる限り着用しないほうがいいと考えています。マスクは明らかに呼吸を浅くします。それは物理的に吸引できる空気量が減るというわけでなく、口や鼻の前に物があると呼吸が浅くなるようにわたしたちの体ができているから。
試しに部屋の壁に向かって立ち、鼻先が壁に付きそうなくらいまで近づいて大きく呼吸してみてください。たぶんほとんどの人が、大きな呼吸ができないはずです。理屈としては肋骨まわりの動きが固くなるとのこと。マスクをしているのはまさにこの状態で、1日中マスクをしていたら、かなりの酸素不足になります。
そうなるとどうなるかは、ここまでの数日間ブログを読んでくれている人ならわかるはずです。自律神経が乱れてイライラしやすくなります。集中力も維持できなくなって仕事でミスをしがちになります。最近イライラしている人が増えているのは、マスクも影響しているんだろうなと思っています。
人がいる場所でマスクを外せなんてことは言えませんし、するべきではありません。ただ、職場などでマスク着用が義務になっているところでは、1時間に1回くらいはマスク外して深呼吸をする時間を設けたほうがいい。そして寝る前にも呼吸が整うエクササイズをして、自律神経を安定化させたほうがいいです。
走るときだってマスクがないほうがいいんです。だから早朝に走ろうよと言っているわけですが、朝起きるのが無理という人もいるでしょう。だったらマスクやBUFFをしようよというお話です。それぞれがどこかで現状に適応しなくてはいけない状態です。
相手に適応させるくらいなら、自分が適応する。
それがわたしのスタンスです。賛同できない人もいるかと思います。「歩行者が適応しろ(ガマンしろ)」と思っている人もいるのでしょう。だからみんなに同意してもらいたいとも思いません。ただ、自分を守りたいなら、傷つきたくないなら着用したほうがいい。
暴言を吐かれても嫌な気分にならない鋼のメンタルを持っているならご自由に。
まとめ
大事なことなのでめずらしく「まとめ」でまとめておきます。
- マスクをするのは歩行者の不快感を小さくするため
- マスクをするのは自分のメンタルを守るため
- マスクに効果があるかどうかはどうでもいい
- ジョギングは未来の医療崩壊を防ぐためにすべての人がしたほうがいい
- 追い込むランニングは今すべきことではない
- マスク着用時は適度に深呼吸タイムを設けたほうがいい
こんなところでしょうか。
ここまで読んだ人はかなり疲れたかと思います。この記事を拡散しようとはしませんよね。手っ取り早く広く知ってもらうには、こういうやり方じゃダメなんです。だから、たむらけんじさんは意図的に炎上させたのではないかと、わたしは感じています。
自分が嫌われ者になってもいい。普通の人にできることではありません。ただせっかく身を挺して嫌われ者になったのですから、わたしは彼を嫌っておこうとは思います。意図的とわかっていても受け入れてはいけない言葉ってありますからね。もちろん同意は求めませんが。