
筋肉中のATPが分解されるときのエネルギーが筋肉を動かすという話を、昨日のブログでしましたが、分解されたATPを再生するのにビタミンB1が必要になることを少しだけ話しました。そうなってくると気になるのはビタミンB1です。
ビタミンB1が不足するとATPの再生ができないので、必然的に走れなくなりますが、ざっと調べただけではこのビタミンB1についての情報とても曖昧で、自分なりに納得できる状況になかったので、調べながらまた記事化していこうと思います。
ビタミンB1とは
まずはビタミンB1とは何なのかを理解していきましょう。
ビタミンB1の別名をチアミンと呼びます。チアミンの分子式は 「C12H17N4OS」ですが、これはまぁどうでもいいです(いちいち覚えていられるほど高性能な脳みそではないので)。チアミンは体内ではチアミンピロリン酸(チアミン二リン酸)として肝臓や筋肉に蓄えられます。
体内に蓄積できる量は25〜30mgと言われています。蓄積量が減り、血中濃度はが40(ng/mL)を切ると脚気などの症状が発生します。
バランスのいい食事をしていれば、基本的に欠乏することはありませんが、日露戦争時にに精米したお米を食べていた日本軍は全傷病者35万2700人のうち、21万1600が脚気だったという調査結果もあります。戦後もジャンクフードが流行った時代には脚気の人が増えたのだとか。
体内に貯蓄できる量が少ないので、定期的に摂取しておかないと、簡単に欠乏症状が現れます。
ビタミンB1の必要摂取量
ビタミンB1が欠乏するのはよくないことですが、それでは1日どれくらいの量を摂取すればいいのでしょう。これは年齢と性別によって違いますので、1例を挙げておきます。詳しくは健康長寿ネットのページをご確認ください。
ビタミンB1推奨量
30~49歳・男性:1.4mg
50〜69歳・男性:1.3mg
30~69歳・女性:0.9mg
年齢とともに筋肉量は落ちていくので加齢とともにビタミンB1の推奨量が減ります。筋肉量が少ない女性も男性よりも少なめです。ただ、これは一般的な量であり、マラソンをする場合には少し変わってきます。
上記の数字の算出は「0.35 mg/1,000 kcal 」という数字を元に算出されています(0.4 mg/1,000 kcal という話もあるけど、だいたいそれくらい)。フルマラソンを走るときのカロリーが2,500kcalとすると0.875mgを追加で摂取しなくてはいけません。毎日10km走るなら約0.22mgの追加摂取が必要になると推定できます。
ビタミンB1が多く含まれる食材
ではどんな食材にビタミンB1が含まれるのか、100gあたりのビタミンB1含有量を見ていきましょう
豚ヒレ肉 | 0.98mg |
生ハム | 0.92mg |
豚もも肉 | 0.90mg |
あおのり | 0.89mg |
焼たらこ | 0.77mg |
きな粉 | 0.76mg |
うなぎ | 0.75mg |
カシューナッツ | 0.54mg |
豚ばら肉 | 0.54mg |
鶏肉レバー | 0.38mg |
玄米ごはん | 0.16mg |
納豆 | 0.14mg |
ビタミンB1は豚肉に多く含まれます。当然ですね、わたしたちの身体にビタミンB1が必要なのと同じように動物もビタミンB1が必要ですから。その動物の中でも豚はビタミンB1が多く含まれています。
玄米ごはんは100gで0.16mgですのでこれを白米にしたところで、大した量ではないと思うかもしれませんが、宮沢賢治の「一日ニ玄米四合ト」の時代です。1合を炊けば156gですので4合で624g、ビタミンB1の摂取量は約1mgです。
以前、母と「1日4合は食べ過ぎだろう」という話をしたことがありましたが、実は栄養学的にも理にかなった食事だったわけです。肉をたくさん食べる文化もない時代、玄米による1mgのビタミンB1摂取は人間が生きていく上で必要な量だったわけですから、
いずれにしても、今の時代は豚肉があります。面白いもので、わたしの食事は玄米が基本で、豚肉もお肉も基本は豚肉です。安いからという理由ですが、神様は貧乏人に優しくなるように世の中のバランスをとってくれているようです。
ビタミンB1不足が後半の失速を招いているのではという推測

マラソンを走っているときに、エネルギー不足で後半失速するという話をときどき耳にします。でもわたしたちの身体にはかなりの量の脂肪があります。これだけの脂肪を持っているのにエネルギーが不足することに、ずっと前から疑問を持っていました。
ハンガーノックという症状も同様で、普通に考えたら不足するわけがないのに、実際にはエネルギーが足りなくなっている。原材料があるのに、足りないということは単純に使えるエネルギーになっていないということです。
その理由のひとつがビタミンB1の欠乏ではないかと考えています。ビタミンB1も体内に25〜30mg溜められますが、それは溜めている人であって、普段から走り込んでいるランナーほど、練習でビタミンB1を消費しています。
白米食が続くだけで脚気になるわけです。しかもビタミンB1は体内のあちこちにあって、貯蓄量のすべてをランニングのために使えるわけではありません。走るためだけに使ったら、呼吸もできませんし心臓も動かせません。足の筋肉のビタミンB1が足りなくなってATPを再生できなくなって筋肉が動かなくなる。
ストーリーとしてはそれほどおかしくないように思えます。ただこれはあくまでも推測です。どこかで試したいところですが、しばらくマラソン大会もなく……ただそう間違ったことは言っていないはずです。
ビタミンB1不足になるとどうなるのか
そもそもの話ですよ。ビタミンB1が不足すると体にどのような症状が出るのか。
- だるさ
- イライラ感
- 食欲不振
- 腹部不快感
- 動悸(心拍数増加)
- むくみ
- 筋力低下
- 手足のしびれ
- 認知機能の低下
- 物忘れ
- 脚気
エネルギーを作り出せなくなるので、筋肉や内臓、脳が動かなくなります。これにより上記のような症状が出るわけです。マラソンの後半に似ていなくもないですよね。すべてが当てはまるわけではないですが、当てはまる部分は多々あります。
少なくともランナーのうち、それなりの割合でビタミンB1欠乏症の人がいるのではなのではないかと考えています。貧血と同じくらいの割合で。症状の大きな人とそうでない人に分かれるのでしょうが、ゼロではないと推測しています。
ということはビタミンB1のサプリメントを20kmくらいで食べれば、後半の失速を防げるかなと思ったりするわけです。現実的かどうかはわからないですが、ビタミンB1のサプリメントは安いのでどこかのレースで試してみようかと。
もしくはビタミンB1ローディングといきたいところですが、ノウハウはいっさいないので難しいかな。とりあえずしばらくはお肉は豚肉ということで(大豆が体に合わないのが困る……)。あとは玄米食は継続。2合を3日なので全然足りてませんが。