低血糖症状とランナーにおける糖質制限のリスク

糖質制限ダイエットが流行ったことから、どうも糖質は悪者だという風潮があるのだが、もちろんそんなわけはない。少なくともランナーにとって糖質はなくてはならないものだし、糖質制限は馬鹿げている。糖質とどう向き合うかは個人の自由だが、わたしたちランナーにとって必要なものだという認識は持っておく必要がある。

超長距離ランニングの世界では「脂肪を燃焼してエネルギーに替える」という考え方もある。それを否定するつもりはないが、残念ながらわたしたちの体には燃料メーターがあるわけでもないし、現在進行形で脂肪を使っているのか糖質を使っているのかは判断できない。

しかも脂肪を燃焼するのに糖質は必要で、もっと大事なのは脳のエネルギーとして糖が必要になる。ケトン体が脳のエネルギーになることは知っているが、クリエイティブな仕事をするときや、瞬時の判断をしなくてはいけないときに、それほど役に立つとは思えない。糖質を摂らなくても死にはしないけど、まともに仕事ができるとは思えない。

マラソン大会翌日は驚くほど集中力が低下し、作業スピードはいつもの1.5倍くらいになる。これは速く走ろうが、ゆっくり走ろうがあまり変わらない。わたしは血糖値が下がっているのだと考えて、マラソン翌日は積極的に炭水化物を摂取している。あえて甘い菓子パンも食べるようにしている。体がそれを望んでいるように思えるので。

午前中に甘い菓子パンを食べておけば、昼過ぎからようやく頭が回りはじめる。これをしないと1日ひどい状態が続いてしまう。

本当は菓子パンではなく果物がいい。もっと言えば、レース後に食べるのが理想だろう。筋肉や血液中の糖はほとんど空っぽの状態にあり、すぐにでも補わなくてはいけない。走り終えたらすぐにでもビールを飲みたくなるが、できればバナナかりんご、もしくはおにぎりを食べて糖を摂取する。

わたしもこれまで糖を意識してなかったのもあり、そこまでケアしていなかったが、今回の激坂最速王決定戦ではレース途中に意識してブドウ糖タブレットを摂取し、昨日はUberEatsの配達時にも小まめに食べている。おそらく血糖値が急激に上がるので、正しい摂取方法ではないと思うのだが、レースでも配達でも集中力が切れなかった。

偶然かもしれないが、理屈としては間違っていない。少なくともわたしが活動するにあたって、糖はあったほうがいい。頭のいい人たちは、糖が不足していても、何ら問題なく働けるのかもしれないが、わたしのような典型的な凡人は血糖値が下がらないように、意識的に気をつけなくてはいけない。さらに低血糖は筋肉疲労の回復を遅らせる。

確かに糖質制限はダイエット効果があるのかもしれない。ランナーは糖質ではなく脂質をエネルギーとすべきなのかもしれない。でも「過ぎたるは猶及ばざるが如し」である。糖質制限は好きにすればいいが、正しい知識もなく見様見真似でやると大変なことになる。ランナーは走ることでいろいろ失っていることを忘れてはいけない。

糖もそうだし塩分や水分だって失われている。どちらも必要以上に摂取するのはNGだが、走ることで決定的に体内に不足している。走り終えた後、まずやらなくてはいけないのが、それらを補充して、早期に元に戻るように促すことだ。「糖質は太る」なんて言っている場合ではない。

わたしたちの体には約400gのグリコーゲンが備わっており、マラソンを走ることでそれらが枯渇する。これらを補わないと低血糖症状になり、わかりやすい症状でいえば筋肉痛になる。レース中の1時間ごとに120gの糖質を摂取したランナーは、筋損傷と生理学的ストレスの度合いが著しく低いことが分かっている。

かといって、わたしのようにブドウ糖タブレットを摂取するというのは賢くない。急激に血糖値が上がるのは好ましくないから、玄米やオートミールといった、吸収に時間がかかるものがいいだろう。ただ、ランニングで内臓に負担がかかっていると、また話が変わってくる。もっとも内臓に負担をかけないように走ればいいし、きちんと鉄分を摂りアサイーを飲んでいれば、ランニング中も最低限の酸素が内臓に送られるはずだ。

大事なことは論理的に考えて実行するということ。わたしは直感型の人間だが論理的であることをとても重視している。理にかなわないことは起きようがない。典型的な理系脳だが、少なくともそれがわたしのスタンダードな思考となっている。そして糖質を悪者にする思考はランナーとして理にかなっていない。

判断は自分でしてもらいたい。糖質に頼らないランナーというのもありなのかもしれない。だが、わたしたち市民ランナーは走るためだけに生きているわけではない。レース翌日に仕事のミスで周りに迷惑をかけたくないなら、失われただけの糖質を早めに補うべきだろう。少なくともクリエイティブな仕事をしているなら。

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