別に大して興味はないのですが、ずっと24時間テレビでマラソンをやる意味はないんじゃないの?と言ってきたのもあって、少しは気になります。本当に止めればいいのにと思うのですが、その想いは今回の内容を見て余計に強くなりました。挑戦どころか、これはマラソンに対する冒涜ではないかと。
100kmを10人で走るそうです。それも深夜帯は走らない。深夜帯がどの時間帯を示すのかはわかりませんが、普通のランナーの感覚なら日中を避けて夜に走ります。関東の最高気温が30℃くらいなので、まぁ日中に走ってもさほど問題はありませんし、視聴率を考えたら昼間に走らせたいのでしょう。
それはいいとしましょう。問題は100kmを10人で走ることを挑戦と呼べるのか。1人あたり10kmです。五郎丸歩さんや荒川静香さんもメンバーで、このあたりのアスリートはちゃんと練習すれば10kmは1時間で走れます。ということは10時間で終わってしまうわけです。どれだけ遅くても1時間30分で15時間で終了です。
これをする意味はいったいどこにあるのでしょう。視聴者はどんな感情で走っている姿を追えばいいのでしょう。ちなみに湘南国際リレーマラソン、24時間チームの部の優勝チームは418.7km走っています。最下位のチームですら159.2kmです。100kmを10人で走るというのは、有名人のジョギングを見ているだけです。
言い方は悪いですが素直な思いを書きます。このような小さなブログならDaiGoさんのように炎上することもないでしょうから。これを見て感動するような人間にはなってはいけないというのが私の考えです。マラソンのことをよく知らない人が放送を見たら「がんばってる」と思うのでしょうが、そういう人はきっとオレオレ詐欺などに騙されるタイプなのでしょう。
100kmを10人で走ることに、1ミリもチャレンジ要素はありません。テレビ番組ですのでそれを感動的に仕上げるのだとは思います。でも視聴者も馬鹿ではありません。そういう作りものの感動を垂れ流すから視聴者が離れていくわけです。どうせやるなら、10人がそれぞれ24時間どこまで走れるか挑戦したほうがいい。
そもそも昨年の「募金ラン」ではチームQの5人が20時間で116km走っているわけです。これもどうかとは思いますが、今年はそれよりもハードルを下げています。かつての記録よりもハードルを下げることを「挑戦」と感じてくれる人がどれだけいるか。もちろんメンバーは違いますが、目標が温すぎます。
これは出来の悪いTVショーでしかありません。それが年々ひどくなっています。コロナ禍ということで、安全に開催することを重視するのは分かります。でも、安全と過保護は違います。人の心を動かすための企画なのに、ガチガチに守りに入って人が動くと思っていることが浅ましい。
もっとも安全なところで何を言っても届くことはありませんので、関係者にもなれない1人の戯れ言だと思っておいてください。でも、少なくともこのブログを読んでいる人は、TVショーとしての演出に騙されないようにしてもらいたい。募金をするかどうかは個人の考えなので自由にすればいいのですが、企画としては100%感動要素はありません。
別にこれに限ったことではありません。テレビは普通のものをいかに難しく見せるかが大事で、辛くもない料理を「辛い」と叫んだり、美味しくもない料理をべた褒めしたりする世界。苦しくもない100kmを10人でリレーする企画だって、涙なしでは見られない感動のゴールに仕上げてきます。
その技術をもっと別のところで活かせばいいのにとは思いますが、きっとこの程度でもみんな感動するというのがテレビ局で働いている人たちの感覚。この素材で騙せる。この素材で感動を作り出せると思われているわけです。大衆は愚かだという感覚がもうずっと抜けないでいる。情報操作でごまかせると思い込んでいる。
そもそも今回は封鎖した場所で行うので100kmが本当かすらわかりません。いや本当である必要もなく、コースが実際に1周5kmだったとしても、いくらでもショートカットを用意できます。観るのも応援するのも自由ですが、これは大衆のために用意されたリアリティショー。マラソンとはまったくの別物だということを、頭の片隅に置いておいてもらえればと思います。
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