東北横断ラン155kmの旅をやってきた【太平洋から日本海へ】

いったいこの国には、どれだけの美しい景色があるのでしょう。庄内平野を埋め尽くす緑の絨毯が、あと数ヶ月で黄金色に変わるわけです。その美しさを想像しただけで身震いがします。そして、こういう出会いがあるから旅ランはやめられません。

さて、今回の東北横断ランについて振り返るとしましょう。ほぼノープランで松島に立ち、なぜノンストップで酒田を目指したのか、またやりたいと思うのかなど、旅ラン中に考えていたことを書き出していきます。少し長めの旅ランを考えている人は、ぜひ参考にしてください。

目次

ナイトランを選んだ理由

松島から酒田まで約155km。私は1日60kmなら毎日でも走れると考えています。その考えに従えば、今回の東北横断ランは2泊3日にすべきです。ただ、私は24時間マラソンもやっていて、24時間あれは100〜150km走れることは知っています。だから夕方にスタートすれば夜には到着することはわかってきます。

どういう展開になるかは頭の中である程度組み立てられるので、必要であれば夜は宿泊という考え方にしました。結果的にノンストップを選んだのは、単純に宿が途中になかったから。奥羽山脈に入る前にホテルが2つありましたが、そこはまだまだ元気でしたので。

誤算はじっくり仮眠を取れる場所がなかったということ。正確には、眠りたいタイミングで眠りやすい場所が見つからなかったので、仮眠はいずれも短め。最長でも15分程度だったでしょうか。ちょっとした休憩もできなかったので、スタートしてしばらくは50分走って10分歩くというスタイルです。

旅ランは2つのスタイルがあります。寄り道をしながら1日60kmを目安にのんびり走るか、今回みたいにノンストップでゴールを目指すか。最近はノンストップで走ることが増えていて、よろしくないなと思っています。誰かと競い合ってるわけでないのですから。

富戸ヒルクライムで鍛えられた足

ノンストップで走ったもうひとつの理由が、思った以上に足が動いていたからというもの。通常の旅ランはかなり早い段階で、1時間5kmのペースになります。これは数々の旅ランで学んだこと。なので155kmなら31時間かかる計算です。実際にかかったのは27時間30分。

3時間半も想定よりも早くゴールできたのは、もちろん偶然ではありません。ひとつは走りやすい気候だったということ。奥羽山脈では13℃の表示があり、山形での日中は24℃くらい。8月とは思えないコンディションで、なおかつ東北はこの夏ずっと雨なのに、私が走ってる期間はずっと晴れ。

コンディションが良かったのは天候だけでなく、私自身もです。この夏はいつもと違い、宿直の仕事で、毎日アップダウンのあるコースを走っていましたし、それも富戸ヒルクライムでの記録を目標にしたので、それなりに追い込むようなトレーニングもしてきました。

結果的に体も絞れており、走れる足になっていたわけです。いつもの夏の旅ランは、暑さを理由に練習不足でしたが、今回はまったく違います。ただ、スタート前日に富戸ヒルクライムを走っていたので、最高の状態ではなく、グリコーゲンが枯渇しています。

それでもキロ6分くらいで走れますし、奥羽山脈の上りでも、歩くことなく淡々と走れました。やはり大事なのはトレーニングですね。言い訳をしたら全て自分に返ってくる。男は黙ってトレーニング。やると決めたらやり抜くことが大切です。

補給ができなかったことが後に響く

今回は残り30kmがかなり苦しい展開になりました。履く機会がないからと初代アディゼロアディオスプロを選んだのも影響してか、アキレス腱に違和感が発生。キロ10分くらいのノロノロペースになります。長く走る練習をしていないのも影響したのかもしれません。

ただ最大の原因は補給が足りてないこと。松島に向かう前に駅弁とホットサンドを食べたのもあり、奥羽山脈に入る前に空腹感もなく、菓子パンとおにぎり少しだけを手に峠越えをすることになりました。本来ならこの区間がしっかり補給しなくてはいけないのに。

峠を下る前に食料が尽きて、空腹感に苦しめられることになるのですが、それよりもエネルギーが枯渇していきます。ある程度は体脂肪を使って走れますが、それだってグリコーゲンが体内にないと脂肪をエネルギーとして使うことができません。グリコーゲンは前日の富戸ヒルクライムで使い果たしており。

結局、ちゃんと補給できたのは朝になってから。それもコンビニでパスタのみ。当然足りないわけですよ。でも、1度にたくさん食べると動けなくなるし、調子が良かったからこそ、その状態をキープしたくて、食事を後回しにしたのが失敗。ランチ前も空腹で倒れるかと思ってお店に飛び込むという。

そもそもお店がほとんどないのと、食事のタイミングをミスって営業時間外。こちらもちゃんと計画を立てておくべきでしたね。ちゃんと補給できてないから、後半にあちこち痛めてしまう。24時間マラソンで得た経験をまったく活かせてないのは大いなる反省点。

やっぱり旅ランは面白い

今回は太平洋の海水を日本海に注ぐというミッションがウケたのか、SNSで面白がってくれる人がちらほら。こうやって交流できるのも今どきの旅ランの面白さです。毎月1回くらいのペースでできれば、旅ランの人として定着しそうなんですが、100kmオーバーの旅ランは体への負担も、財布への負担も大きく。

とはいえ、やっぱり面白いし、旅ランが好き。今回は特に酒田ゴールにしたのが正解。いつもなら松島をゴールにしていますが、知らない場所がゴールのほうが盛り上がりますね。そして翌日のプチ観光も楽しめます。酒田があんなにも素敵な街だとは知りませんでした。

ジェットスターに庄内便があった理由が、ようやくわかりました。きっとジェットスターの人も庄内地方の魅力を知っていたのでしょう。でもその魅力の発信まではできていなかったから利用者が少なく廃便に。でも、それで酒田などの庄内地方の魅力が減るわけではありません。

こういう発見があるからやっぱり旅ランはいいですね。もちろん庄内地方以外にも、この国にはまだまだ魅力的な場所があります。ただ、酒田もまだすべてを知ったわけではないので、また行くことになるでしょう。今度はランニングで向かうのではなく、飛行機で向かい、現地を旅ランする感じで。

今回の東北横断ランをもう1度走るかと聞かれると「もう2度とやらない」と答えます。楽しかったのは事実ですが、途中で何ヵ所も危険な場所があり、安全に走れないというのがその理由。歩道のないトンネルとか、いつ事故になってもおかしくありませんから。

そういうのも走ってみてわかること。そういう意味では、チャレンジしたことは良かったと思います。東北横断ランをするなら別コースを考えること。もっとも、日本海側に向けて走るなら、大なり小なり危険な道は避けられないのでしょうが。こういう難易度や危険度、危険性なども発信したいところです。

需要はないかもしれませんが、旅ランの専門サイトを作るというのは前々から考えていたこと。やっぱり始動しますかね。今回、動画を撮る余裕もなかったので、それも含めて本格的に動き出すとします。鉄は熱いうちに打たなきゃいけないので、戻ったらすぐに構想用ノートを買ってきます。

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