鍛えていない筋肉は使えない【自分の体をコントロールする】

先日、リュディガー選手の走り方について、私なりの考察を書きましたが、きっと「背中の筋肉を使う」という感覚は上手く伝わっていない気がしています。そんな走り方をしている人は少数派で、背中を鍛えている人はおそらくランナー全体の1%もいないでしょう。

そういう意味で、私の「背中の筋肉を使って走るべし」という主張は的外れというか、「そんなこと言ったって、どうすればいいのさ?」となるのでしょう。ただ、これに関しては「使うんだよ」としか言えません。開いた手を閉じる方法を教えろというくらい無理があります。

私にしてみれば普通にやっていることですし、仮に背中の筋肉の使い方の説明をしたところで、そもそも背中の筋肉を鍛えていない人は使いようがありません。無い袖は振れないではありませんが、無い背中の筋肉は使えないわけです。

もちろん、私だって最初からできたわけではなく、何度も試行錯誤をしてたどり着きました。その過程で10年以上もピラティスを続けて、体の声を聞けるようになるという段階も踏んでおり、そして最初はわずかにしか使えなかったものを、徐々に増やしていったわけで、同じレベルになるには何年もかかるわけです。

しかも、背中の筋肉を使えるようになったところで、必ずしもマラソンのタイムが縮まるというわけではありません。むしろ、これまでと違う走り方になって、これまでよりも遅くなる可能性もあるので、別に背中の筋肉を使えたから優れているわけでもありません。

では、なぜそんなことをしているのかというと、私はそこに可能性を感じているから。いまあたり前だと思われている走り方がすべてなのか?といった天の邪鬼な思考があり、世界一速く走れるわけじゃないなら、オンリーワンを目指したいというだけのことです。

私が最終的に到達したいのは、自分の体を自分できちんとコントロールできるようになることです。それができるようになると、上手な人の動きを簡単にコピーできるので、大抵の競技は初見でもそれなりのレベルでこなせるようになります。

自分の体を思い通りに動かせるようになると、ケガをする可能性も下がります。そもそも無理な動きをしないようになりますし、突然何かにぶつかられてバランスを崩しかけても、すぐに立て直すことができるわけです。トレイルで足を滑らせても、転ばずに態勢を整えることもできるようになります。

その状態になるためには、背中の筋肉も使えるように鍛えておく必要があります。言うまでもありませんが、他の筋肉もそうです。人間の体にはサボり筋と呼ばれている、ほとんど使われていない筋肉があります。それらを動かせるようなれば、もっと繊細な動きができるようになります。

人間の体にはムダなものはないので、サボり筋も現代の生活の中では使われていないだけで、本来はなんらかの役割があり、それを鍛えておけば自分の可能性が上がるわけです。だとしたら、使えるようにしとかない理由がありません。

使っていない筋肉を使えるようにするのは、本当に地味な作業で成長している実感もありません。使えるようになるまでに長い時間もかかります。だから他の人に勧めることはできませんが、そういう世界があるということを知っておいてもらえれば。

知ったことで得られるものはないので、知らなくてもいいんですけどね。ただ、40代や50代になっても今よりも成長したいと考えているなら、使っていない筋肉を使えるようになるための、試行錯誤をはじめてみてはいかがでしょう。

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