100回大会に向けて高まっている箱根駅伝人気と学生スポーツの難しさ

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箱根駅伝は駒沢大学の圧勝ということになりましたが、残念ながら今年も自分の仕事やランニング、食事の時間を優先させたのでレースを見ることができず。取材をした國學院大學の平林選手の走りも気になったのですが、人の心配の前に自分の心配をということで。

ランニングの世界に身を置いているからなのかわかりませんが、箱根駅伝人気が過度に高まっているように感じます。おそらく来年の100回大会に向けて、メディアも含めて盛り上げようとしているのと、あとはスポーツメーカーがサポートすることで自然と露出が増えているのもあります。

ナイキは箱根駅伝に出場する有力選手を含めた駅伝勢を年末年始商戦の広告塔にしており、アシックスもアディダスも積極的にサポートする大学の選手を広告塔として活用しています。私が國學院大學を取材したのもその一環です。すごいもので平林選手のインタビュー記事が少しだけアクセスが増えていました。

ただどんなものにも波があり、高い人気を永遠に維持し続けることはできません。単純に考えれば100回大会のあとは、余程の手を打たない限り箱根駅伝人気はゆっくりと萎んでいくはずです。栄枯盛衰というやつですね。

栄枯盛衰といえば、青山学院大学が無敵だった時代が終焉を迎えるようなレース展開だったようで。最後に3位まで上がったのはさすがですが、あの強かった青山学院大学が箱根駅伝で勝てなくなる日が来るなんて誰が予想したでしょうか。

もっともそれを言えば、駒沢大学だって最強だった時代があったわけで、その駒沢大学が沈んで青山学院大学が上昇。そして青山学院大学が沈んで駒沢大学が再浮上してきたわけで、さらには古豪である中央大学も復活しました。

箱根駅伝は学生スポーツなので、毎年戦力が変わっていきます。力のある4年生が抜けると、それだけでチーム力が低下します。それをいかにして補うかが毎年どのチームも課題になるわけですが、箱根駅伝に関わる人たちは、そこに人生を賭けています。

それ自体は美しいことだと思うのですが、私のような天の邪鬼な人間は、その「人生を賭ける」ことに疑問を感じてしまいます。大学生というのはまだ人生の25%くらいの段階で、その先の人生のほうがよっぽど長いわけです。

でも彼らの多くは陸上競技しか知らないまま社会に出ていきます。実業団などで続けていれければいいのですが、それも10年以内に多くの選手が引退し、オリンピックなど世界の舞台に出られる選手は本当にひと握り。

そんなことは選手自身が1番わかっているのでしょう。別に箱根駅伝に限ったことではありません。学生野球も学生サッカーも同じ。ただ、箱根駅伝だけは突出して勝利至上主義にあり、熱が高まれば高まるほど関わる人たちの視野が狭くなっていく。

陸上競技は完全に体が資本なので、とにかく節制の日々が続きます。球技だと体も大事ですが、クリエイティブであることや統率力みたいなものも勝利に影響するので、陸上競技のように命を削りながら向き合っている人はそれほど多くありません。

そう、箱根駅伝の選手は命を削って走っている感じがあります。これ以上注目度が上がると、そのうち結果を出せなかった選手が責任を感じてメンタルを壊してしまわないか心配しています。「たかが駅伝」その部分がほんの少しでも残る余地があるといいのですが。

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