暑さ指数によりマラソン大会が打ち切られたことについて

9月17日に開催された第72回高畠ロードレースで、開始から約1時間経過したところで暑さ指数が「激しい運動は中止」とする厳重警戒のレベルを超え、1時間40分経過したところでレースそのものが打ち切りになりました。

しっかりと準備をしていたということに対して、わずかながらの驚きがありました。マラソン大会の多くが適応力が弱く、これまでのやり方に固執する傾向にあると思っていて、熱中症で大きなトラブルにならないと何も変わらないんだと思っていました。

ところが第72回高畠ロードレースで打ち切りになったということは、事前に取り決めがあったということになります。岩手のマラソン大会で亡くなられた人もいて、北海道マラソンがかなり厳しいコンディションだったことが広まったことも影響しているのでしょう。

それでも、前例のない対応をすることを選ぶのはとても勇気がいることで、決して簡単なことではありません。中止や打ち切りで、参加者から文句が出る可能性もあります。ただ、それ以上にトラブルが起きたときのマイナスが大きいと判断したのでしょう。

なおかつ「大きなトラブルが起きるかもしれない」ではなく「大きなトラブルが起きる」と運営側が考えたわけです。文句を言われようが倒れたり、調子を崩したりする人がでないようにする。きっと強いリーダーシップを持った人がいたのでしょう。

そして、打ち切りをニュースにしたことで、他のマラソン大会の運営も「それでいいんだ」と思えるようになったことが、実はとても大きな変化になるような気がします。前例がここにできたわけです。それを広めたメディアのナイス判断ということになります。

おそらく、これから開催されるマラソン大会の多くで「暑さ指数の数値によっては打ち切ることもある」と事前に通達することになるはずです。もちろんすべての大会がそうするわけではありません。私が参加したセプテンバーえきでんなんかも何℃であろうと開催するはずです。

暑さ指数で打ち切りを決めるというのはお役所的な発想であり、熱い想いを持って運営している人がトップの大会は人情が入ってしまうので、危険とわかっていても打ち切りや中止の判断をできなかったりします。個人的にはそういうのも人間らしくて好きなんですけどね。

ただ、この問題の本質は8月や9月にマラソン大会を開催すべきかという話にあります。東北や北海道のマラソン大会では、これから春にかけて大会事務局内で議論されるはずです。ただ、困ったことに開催月を変えることが本当に正解かどうかは現時点ではわかりません。

賢い人たちは10月開催にすればいいと言います。でもマラソン大会は参加者の奪い合いなんです。ただでさえ大会が渋滞している10月に移行すると、定員割れする可能性があります。定員割れするとスポンサーが付きにくくなります。

では5月や6月はどうかというと、その時期はマラソンのシーズンオフになり、やはり人を集めるのが難しいという問題があります。東北や北海道の大会にとって、8月や9月はライバルが少なく、集客しやすい絶好の季節なわけです。そこを本当に変えていいのか、それは簡単に答えの出る話ではありません。

でも、少しずつ変わりつつあります。変わるしかないんですよね。どの大会もレース中に熱中症でランナーが亡くなってしまうのは避けたいので。でも開催時期をずらせばいいという単純な話でもない。これが私たちが思っている以上に根深い問題かもしれません。

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