反則シューズではなくアンフェアなだけ:ものづくりへの冒涜

箱根駅伝で青学の選手がADIZERO ADIOS PRO EVO 1を履いて快走したことを受けて、SNSで「反則シューズ」と表現している人がいました。言いたいことはわからなくはありませんが、もっと別の表現があるだろうと物書きランナーとしては思うわけです。

すべての選手が手にすることができるわけじゃないという意味では、確かにフェアではありません。でもADIZERO ADIOS PRO EVO 1そのものは、百戦錬磨のシューズというわけでもなく、ハイスペックモデルのひとつに過ぎません(超ハイスペックモデルですが)。

そもそも、どのルールにも違反していないのに「反則」というのはどういうことでしょうか。私はものづくりをしてきた人間でもあるので、開発者の苦労や想いなども少しはわかります。はっきり言いますが、ADIZERO ADIOS PRO EVO 1を「反則シューズ」と呼ぶことはものづくりへの冒涜です。

「ADIZERO ADIOS PRO EVO 1を履くのはアンフェアだ」と言うのはわかります。でも、それも含めて競技なわけです。青学がアディダスを選んだことはマネージメントの力であり、チームとしての総合力でもあります。ナイキが厚底を出したときも、アディダスとの関係をうまく維持したからこそ今があります。

これはサッカーのプレミアリーグなどで、上位の金銭的に余裕のあるチームに対して「アンフェアだ」と言っているのと同じです。「箱根駅伝はプロスポーツではない」という反論もあるかもしれませんが、そもそもなぜ「プロスポーツではない」のでしょう?

スポンサー企業から金銭的な支援を受けている選手もいて、どのチームもスポーツブランドが広告塔として利用しています。これを「プロスポーツではない」と言い切るのは無理があります。そしてスポーツはいつだってアンフェアなものなんです。

そのアンフェアを乗り越えて弱者が強者に立ち向かう。そこにドラマがあるから面白いんです。みんながまったく同じ条件で、身体能力だけで競い合う競技なんて面白さが半減します。スポーツはエンタメであり、ツッコミどころがあるから楽しめます。

ちなみに厚底化をしてからのアディダスは、体重の軽さがものをいう種目ほど結果が出やすい傾向にあります。更新した世界最高記録の多くが女子選手やハーフマラソンよりも短い距離で、そういう意味では箱根駅伝との相性がいいというのは以前から感じていたことです。

なぜそうなるのかはわかりませんが、そういうメーカーごとの個性があるのも、競技をより深く楽しむためのポイントになります。1人の選手がなぜそのシューズを選んだのか。それぞれに物語があり、箱根駅伝がより興味深いものになるわけです。

最近の私は本物の反則シューズ「ADIZERO PRIME X 2 STRUNG」をジョグシューズとして選んでいます。体が重たいときも、とりあえず足さえ動かしていればちゃんと前に進んでくれるので。それでいて疲労も溜まりにくいというメリットもあります。

ただ、鶴巻温泉に戻ったら裸足ランニングを再開するので、「ADIZERO PRIME X 2 STRUNG」は旅ランくらいでしか出番がないかもしれません。大事なのはそのシューズを何のために履くのかを自分なりに明確にしておくということ。

ADIZERO ADIOS PRO EVO 1は「勝つためのランニングシューズ」で、勝利のために人生をすべて捧げている人のための1足です。それを「反則シューズ」とネーミングするのは自由ですが、私は1ミリも同意できないというお話です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次