先日のブログで速くなりたければ筋力を上げるか体重を落とすかだとお伝えしましたが、「じゃあランニングフォームはどうなのよ?」と疑問に感じている人もいるかと思います。確かにランニングフォームは速く走るために重要です。でもランニングフォームについて言語化するのはとても困難です。
ランニングフォームというのは、出力の効率に影響を与えます。例えば出力100の脚があるとして、ランニングフォームが悪いと、地面に伝わる出力が80や90になります。ランニング初心者だと70くらいまで落ちるかもしれません。
だったらランニングフォームの重要性についても語るべきではないかと思うかもしれませんが、残念ながら万人に適用できるランニングフォームなんていうものはありません。理論的に正しいフォームはありますが、誰もがその動きができるわけではありません。
たとえば右足と左足の長さは必ずしも同じではなく、ランナーごとに違います。脚の筋肉の付き方も100人いれば100通りあります。だから最適なランニングフォームはランナーの数だけあるわけです。しかもどのランニングシューズを選ぶのかによってもフォームが変わります。
HOKAのランニングシューズは、原則として踵着地になります。もちろん踵着地以外の着地方法でも走れますが、そうなるとHOKAのシューズを選ぶ必要性がなくなります。シューズに適した走り方をしないと、やはり出力が落ちてしまうわけです。
シューズごとに走り方を変化できる人は限られていますので、実際には自分に適した走り方にマッチするシューズを選ぶ必要があるのですが、ほとんどのランナーはそんなことを考えないので、知らず知らずのうちに出力を低下させています。
では、自分に最適なフォームはどうやって見つければいいのか。これはとても難しい問題かつ、ランニングにおける最も面白い問題でもあります。答えは2つあって、ひとつは「いまの走り方」が自分に最適化されたものと考えられます。
これは月間走行距離が300km以上あるようなレベルのランナーの話ですが、それくらい走っていれば自然と自分の体に無理のない走り方ができるようになります。習うより慣れろの世界ですね。勝手にアジャストしているわけです。
そしてもうひとつは、ランニングコーチにチェックしてもらうという方法です。ただ、ここで大事なのは「ランニングフォームはランナーの数だけある」と考えているコーチに教わることです。それもマンツーマンで教わる必要があります。
多くのランニングコーチが、それぞれに理想とするランニングフォームを持っており、それに当てはめようとしてきます。その走り方ができる骨格の人ならいいのですが、そうでない場合にはランニングフォームを無理に変えた結果、ケガを引き起こす可能性があります。
そうなりたくなければ、自分の走りを見てもらって、体のクセなどを把握してもらったうえで最適なフォームを提案してもらうというのが理想。「腕振りはこうしましょう」みたいに、画一化するようなコーチングは個人的におすすめしません。
いずれにしても、速くなるためにランニングフォームをいじったところで、初心者でもない限り、わずかな出力アップにしかなりません。むしろ自己流だと出力ダウンになる可能性もあります。そんなことに時間を費やすくらいなら距離を踏み、筋トレをするほうがよっぽど効果的です。