1万時間の法則と1日1時間のトレーニング:練習が必要な理由

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以前からずっと気になっていることがひとつあります。それは十分な練習をせずに、フルマラソンを走る人があまりにも多いということです。東京マラソンにいたっては、短い距離のレースの経験もなく、大会当日までに20kmも走ったことがないという状態でスタートラインに立つ人がいます。

そういう人がいるからマラソン業界が盛り上がったわけですが、私はこの「猫も杓子も」状態になっていることをあまりいいことだとは思っていません。フルマラソンというのは、きちんとトレーニングを積めばほとんどの人が走れるスポーツですが、トレーニングなしで参加すべきではありません。

トレーニングを積んでいてもフルマラソンというのは体にかかる負荷が大きく、正直なところ人に勧められないスポーツです。実際に私は誰かにマラソンを勧めたことはありません。裸足ランニングも請われないかぎり教えたりはしません。

ある分野でスキルを磨いてトップレベルになるのには1万時間ものトレーニングが必要とする考え方があります。これを「1万時間の法則」というのですが、1万時間というのは1日に3時間トレーニングをするとして、10年近くかかることになります。

面白いもので、マラソンも競技を始めてから10年間は記録が伸びるとされています。マラソンの場合には1日3時間もトレーニングすることはトップレベルでもないとあり得ませんが、それくらいの時間をかけて成長することになります。

逆に考えると、1日3時間のトレーニングを20代の前半から実施すれば、30代前半にはそれなりのランナーになります。もちろんケガを回避する必要がありまし、トレーニングといっても走るだけではありません。筋トレも含めて総合的に鍛える必要があります。

さらに30代や40代から走りはじめた場合、10代や20代で走り始めるよりも伸び率は下がります。30代後半になると筋力が低下してくるので、成長しながら退化していくことになるので。もちろん個人差はありますけどね。

さて1日3時間のトレーニングをするとして、そのうち1/3を筋トレ系だとします。そうなると1日2時間走ることになり、トレーニングの中心がジョグだとすれば1日20kmくらい走る計算になります。そうなるとキロ6分で走るとして月間走行距離は600km。

なんとなくトップレベルの選手の練習量イメージに近づいてきます。もちろんこれは、トップレベルになるためのトレーニング時間になりますが、自分のすべてを引き出すのにこれくらいの練習量が必要になるということになります。

私は1日1時間のランニングで月間走行距離は300kmになるといつも言っていますが、この考え方だと自分のすべてを引き出すことはできず、サブ3に手が届かないのも納得できます。そして練習量がいかに大切さがよくわかります。

練習は量ではなく質という人もいますし、それを否定するつもりはありません。でもフルマラソンを走るのに、サブ3やサブ3.5を達成するのに絶対的に必要な量というものはあります。量を減らしていいのは、少なくともランニングの動きを習得してから。

じゃあ十分な練習できなかったらフルマラソンは走ってはダメなの?と聞いてくる人もいるかと思いますが、自分の教え子なら「YES」と答えます。別にマラソン大会はフルマラソンだけじゃないので、練習量に見合ったレースに出ればいいだけですから。もっとも知らない人には「好きにすれば」と答えますが。

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