何百回でも言いますがマラソンはリスクのあるスポーツです

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愛媛県で練習中と思われるランナーの方が亡くなられました。愛媛マラソンのネックウォーマーをされていたとのことなので愛媛マラソンに向けての調整をされていたのだと思います。とても悲しいできごとですが、いつも言っているようにマラソンはリスクのあるスポーツです。

1日5kmもしくは30分程度のジョギングは健康をもたらしますが、それよりも走ると体への負担が大きくなり、不健康になっていきます。フルマラソンを走れるのに不健康とはどういうことなのかと思うかもしれませんが、健康というのは0か1という話ではありません。

42.195kmを走れるだけの強い体を手に入れたとしても、着地の衝撃は間違いなく膝などの関節を消耗していきます。人間の軟骨は基本的に消耗品ですので、走ることで削れていったら、手術でもしない限り元には戻りません。

心臓にだって負担がかかります。安静時の心拍数が60だったとして、マラソン中は150を超えることもあるわけで、それだけ心臓に無理をさせた状態になります。さらにマラソン中は内臓への血流が弱まってしまいますので、内臓にも負担がかかります。

42.195kmを走れることと、42.195kmを走ることによる負荷を受けきれることは同じではありません。長く走っていれば、いずれ耐えられなくなる日がやって来るわけです。私たちはそれを見極める必要がありますし、受け入れる必要があります。

それ以前に、再認識しなくてはいけません。自分たちがやっていることのリスクについて。別に走るのをやめるべきだとは言いません。私もやめるつもりはありません。失われる寿命と引き換えに得られるものが多いと感じているから。

マラソンのない100年の人生と、マラソンのある70年の人生どちらを選ぶかと聞かれたら、私なら後者を選びます。どちらが正解ということではなく、その覚悟はありますか?という話です。もちろん個人差があるので、マラソンランナーでも長生きする人はいます。

でも体への負担がかかっていることには違いありません。実際に毎年のようにマラソン大会ではAEDのお世話になる人がでてきます。マラソン大会中に亡くなられる方もいます。それは他人事ではなく、すべてのランナーに起こり得ることです。

自分だけは大丈夫という根拠のない自信は手放してください。ある日突然、倒れてしまうことがどのレベルのランナーでも起こります。それくらいのことをしているわけで、追い込めば追い込むほどそのリスクは高くなっていきます。

健康のために走り始めたのに、マラソンの沼にハマって健康でなくなる。落語みたいな話ですが「健康のためなら死んでもいい」みたいなことが現実に起きています。だから私は問います。「走る目的はどこにありますか?」と。

健康のためというのであれば、フルマラソンからは撤退するのが利口です。人生を充実させたいためというのであれば、寿命が短くなるリスクを受け入れた上でこれまで通り走り続ける。ただし、家族がいるならきちんと家族と話をしたほうがいいくらい重要なことです。

そして愛媛マラソンの実行委員会がアナウンスしているように、体調が優れないなら走らない。間違った努力を嫌悪する。それくらいの気持ちを持ってもらいたい。真面目なことが常に正しいとは限りません。マラソンでは手抜きするくらいがちょうどいいということを頭の片隅に置いておいてもらえれば。

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