
RUNNING STREET 365の取材で大阪マラソン2024に行ってきました。大会そのものの評価は、雨のせいもあって低くなっている大会ですが、個人的には運営側の「絶対に成功させる」という熱い気持ちが伝わってきて、来年は走ってみたいなと思うようになった1日になりました。
大阪マラソンは2023年にまさかの定員割れがあり、2次募集を行ったという背景があります。マラソン大会の多くが定員割れを起こしている状況ではありますが、まさか倍率が5倍もあった大阪マラソンで定員割れが起こるとは誰も思っておらず、ランナーがざわついたのを覚えています。
ただ、そうなるような前兆はあって、大都市マラソンにありがちな「走らせてあげている」という雰囲気が大会運営のあちこちに漂っていました。もちろん実際に運営している現場でそんな感覚になっている人はいないのでしょうが、「大会」としてはやや傲慢な感じを受けていました。
私が大阪マラソンを走ったのが2015年でしたが、そこから1度もエントリーしなかったのは、そういう雰囲気が苦手だったから。でもそれは大阪という地域の特色でもあり、かつては「大阪らしさ」だったわけで、そこに惹かれて多くの人がエントリーしていたわけです。
ところが昨年の大阪マラソンでは、それがうまく機能しなかったわけです。ただ、そこから1年で見事に立て直したというのが今回の印象です。それも「俺についてこい」といった大阪らしさを残しつつも、きめ細やかな気配りで、誰ひとりとして置いていくことなく、ランナーを引っ張っていたわけです。
当日は冷たい雨が降り、ランナーは走る前に体が冷え切ってしまったり、荷物預けや更衣所の路面が泥だらけになったりして、大会そのものの評価は低くなっていますが、そういうのは改善すればいいだけ。少なくとも本質的な部分に間違いはないと私は思っています。
こうした危機感を持った運営は愛媛マラソンでも感じました。おそらく他にも「このままではいけない」という気持ちで今シーズンのマラソン運営を行った大会がいくつもあるはずです。黙っていてもランナーがやってくる時代が終わり、それを敏感に感じた人が運営にいる大会から変わっていったのかもしれません。
正直、マラソンブームが終わったことで、多くのマラソン大会が撤退するものだと思っていました。かつてのような盛り上がりもなく、それでいて道路の封鎖など、多くの人に迷惑をかけてまでマラソンを続ける大義はもうありません。実際にこのタイミングで終わってしまった大会もあります。
でも、大阪マラソンや愛媛マラソンは、大会の規模を小さくするどころか、これまで以上に予算を使って大会を大きくすることを選びました(実際に予算が大きくなったかどうかはわかりませんが)。この2つの大会の明暗をわけたは「雨の量」でしかありません。
おそらくこれから消えていくマラソン大会も出てきますし、しばらくマラソンブームが戻ってくることもありません。でも、ブームが終わったことで大会の運営が危機感を持つようになり、これまでとは違った個性的な大会が増えていくような気がします。
そのために大事なのは「絶対に成功させる」という情熱。そのためには運営トップの強い意志が必要であり、少なくとも大阪マラソンと愛媛マラソンからはそれが感じられ、どちらも今後の展開を考えただけでワクワクしてきます。
ただ、参加者になってみないと感じられないこともあるので、来年は大阪マラソンにエントリーするつもりです。当選するかどうかはわかりませんが、きっとここから東京マラソンに並ぶ(もしくは追い越す)大会になるという確信があるので、抽選に外れても変化を追い続けることになりそうです。