ラン仲間が勧めてくれたサイクルロードレースの本「敗北のない競技 [ 土井雪広 ]」を読み終えて、確信したのはランニングの世界にもドーピング、もしくは禁止されていない薬があたりまえに使われているんだろうな、ということです。
「敗北のない競技 [ 土井雪広 ]」はサイクルロードレーサーの土井雪広さんが、実際に欧州のサイクルロードレースに加わり、そこで感じたこと、サイクルロードレースの現実が書かれていて、その中にドーピングや薬は特別ではないことも書かれています。
自転車とランニングはわりと密接な関係にあります。トライアスロンという競技を通じて、まるで兄弟であるかのようにお互いの文化が所々でつながっています。
サイクルロードレースでドーピングや薬があたりまえならば、ランニングの世界にも当然ドーピングや薬が入ってきているはず。そういえばトレイルランニングの世界では度々ドーピングが発覚しています。
マラソンにおいてはどうでしょう。勝つために違反ではない薬物の投与や注射はきっとあるのだろうなと思っていたら、昨日の陸上界大放談で増田明美さんが「フェリチンの問題とか・・・」と言っていました。
その場でフェリチンがテーマになることはなく、さらっと流されましたが、本を読み終えたばかりだったわたしには、「これは大事な話」だということを直感的に感じました。
フェリチンは、体内に蓄えられた貯蔵鉄です。タンパク質なのですが、この貯蔵鉄をもとにヘモグロビンが作られる仕組みです。簡単に説明すると、このフェリチンが不足すると貧血になります。
フェリチンが少ないとヘモグロビンが減り、酸素の運搬量が減る。そうなると持久力が低下します。男性ランナーにはあまり起こらないことですが、女性ランナーはフェリチンが減り貧血になって走れなくなることがあります。
だから貧血になりやすい女性ランナーはフェリチンを薬などで摂取します。そこまではまだ治療の範囲だから問題ありませんが、このフェリチンの量が標準の10倍以上の女性ランナーがいるそうです。
ヘモグロビンが多いほうが有利だからという理由でフェリチンの注射を定期的に打っている若手選手が珍しくないのだとか。
この問題の難しさは、「ランナーの健康維持にフェリチンの摂取は有効な治療法」であり「違反ではない」という点にあります。ただし適量を超えると、マラソンにはプラスになっても体への弊害は大きくなります。
実業団ではフェリチンの過剰摂取させていないそうですが、高校などで指導者が「選手のため」にフェリチンを与えているという事実。
フェリチンはおそらく氷山の一角なのでしょう。あたり前のようにランニング界も薬に依存しているはずで、ロキソニンなどがその象徴ではないでしょうか。
ちなみにそのロキソニンの使用上の注意に追記がありました。「重大な副作用」の項目に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」が加わっています。
薬を使うことは人それぞれの判断ですから好きにすればいいと思うのですが、フェリチンにしてもロキソニンにしても万能ではなく、副作用があるもので命を削って使っていることは頭の片隅に置いておくほうがいいのかなと思います。
少なくとも市民ランナーは薬とは離れたところにいたほうがいい。胃潰瘍で薬漬けになっているわたしが言うのも何ですが・・・
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