海外からの受け入れを再開して何が変わるのか

11月1日から中国、韓国、ベトナム、オーストラリア、シンガポール、タイ、ニュージーランド、ブルネイ、台湾への入国拒否と渡航中止勧告が解除された。まだ時期尚早だという声も多数あるが、個人的には歓迎している。シンプルに海外旅行のハードルがまた1つ下がったから。

少なくとも、国が中国や台湾に行くことを止めることはない。あとは受け入れる側の対応次第ということになる。こういうのは外交が動いてることなので、日本がOKとしたことで、おそらく受け入れる側との話もついていて、そう遠くないうちに上記の国との行き来ができるようになるだろう。

まだ不要不急の渡航自粛を促すレベル2ではあるが、こういうのは一歩ずつ変わっていくもの。

ひとつだけ懸念事項がある。UberEatsの配達員界隈でも話題になっているのが、ベトナム人実習生などの違法労働や犯罪の問題だ。アパートで豚を解体して検挙されているニュースもあったが、そもそもは低賃金重労働を押し付けて、それに耐えられなくて逃げ出すという部分に問題があり、逃げ出しても国には帰れないので生きていくためにあれこれと悪さをする。

UberEatsの配達はまだ働いて稼ごうをしているのでいいほうで(開業できないので違法には違いないのだが)、良くない方向に流れていく人もいる。国はこれに対しての対策を何ひとつ講じていない。受け入れるだけ受け入れて、そのまま放置で不法滞在の外国人をどんどん増やしている。

国がやることにとやかく言うつもりはないが、こういう現状を知っておくことは大切なことだ。鶴巻温泉駅近くでもベトナム人を見かけることも多いのだが、わたしには彼らに不幸な未来がやってこないことを願うしかできない。遠い異国の地で実質的な出稼ぎ状態。強い気持ちがないとやってられない。

日本人はどうもアジア人を見下す傾向にある。日本が優れていて、その他の国のことを貧しい国と思っているようだが、もちろんそんなことはない。中国の都市部に1度でも行ったことがあれば、台湾に友人が1人でもいればそれが大いなる勘違いであることに気づいているだろうが、その現実を知らない人が多数。

とっくの昔に日本はアジアのトップではなくなっているし、日本人よりも稼いでいるアジア人はたくさんいる。物価が日本よりも安い国なら、わたしたちよりもゆとりのある暮らしもできている。一方で途上国の人たちはエネルギーに溢れている。

日本には何もないとまでは言わない。この変わった国はこれはこれで楽しいし、独自の変化をしていけばいいと思っている。ただ、もう日本人だから素晴らしいとか、日本だから忖度してもらえるという時代ではなくなっている。ちょっと変わった文化があるから、面白がって遊びに来るだけ。

日本という国は他の国の人からすれば巨大なテーマパークのようなもの。歴史があり、美しい景色があり、美味しい食べ物がある。だから日本には行きたい外国人が増えているのだが、それはディズニーランドに行きたいというのに似ている。日本が優れているから行きたいわけではないという事実は、この国の未来を考える上でとても重要なポイントになる。

もうメイド・イン・ジャパンであるということだけで価値が付く時代ではない。価値は個別のブランドにある。だがそれは他の国でも同じこと。そういう意味では、コロナ禍においてもボーダーレスが進んではいる。いいモノだけが残り、受け入れられなかったものは淘汰されていく。それが自然の摂理だ。

そういう時代の流れの中で海外から日本に働きに来ている人がいて、仕事が厳しくて逃げ出してしまう。そして行き場を失って犯罪を犯すこともある。日本の扉が開かれるということは、そういう人が増えていくことを意味する。それでいいのだろうか?もちろん大多数は夢や希望をもってまともに働いている。

だが信じられないくらいの低賃金で(研修だからという名目で)、ほぼ労働力の搾取状態にある。本当にこんな国でいいのだろうかとは思う。だからといって自分になにか出来るわけでもなく、道に困っているベトナム人UberEats配達員を助けることくらいしかできない。

違法状態で働いていても、目をつむるくらいのことしかできない。ちょっとさみしいなとは思う。海外に行きやすくなる一方で、日本では行き場を失う外国人が増えている現状。そして海外からの受け入れを再開することで、これがさらに加速するのは容易に想像できる。

そしていずれ大きな社会問題になり、夢を描いて日本にやってきた人たちが失意の日々を送り帰国する。そのとき日本はディズニーランドでいられるだろうか。繰り返すが、自分にできることは少ない。だからこそ単純に海外への門戸が開かれ始めていることを喜んでいるだけではないということも伝えておく。

社会を変えたいとも思っていないし、与えられた環境の中でベストを尽くすのがわたしの基本スタンス。ただ、目の前にある景色から想像できるそう遠くない日本の未来は決してバラ色ではない。わたしが中国や台湾で感じたホスピタリティを日本にやってくる人たちにどうやって提供できるか。わたしなりに考えていくとしよう。

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