読み手を意識して書くためにライターがすべきこと

ライティングのノウハウが書かれている本やブログなどで、「誰に向けて書くべきか」ということが度々議論されています。過去の自分に向けて書くべきという人もいますし、身近な読み手をイメージして書くべきという人もいます。いずれにしても書くときに、誰に向けて書くかというのは、とても重要なポイントになります。

ところが、わたしはこの誰に向けて書くべきかを意識したことはほとんどありません。それはターゲットを絞らないというわけではなく、意識しなくても自然と読み手が決まる環境を整えているためです。ここでは、わたしが読み手を意識して書くためにどのような環境を整えているのかについて解説していきます。

[adchord]

目次

内容や書き手によってターゲットは変わる

あたり前のことなのですが、あまり語られることがないので書いておきますが、内容によってターゲットとすべき相手は違います。例えば何かを教える系の内容だった場合には、過去の自分に対して書くといいとされています。

無知だったときの自分を思い出して、その自分に教えるつもりで書くと、伝わりやすい文章になります。

旅行系の文章だった場合には、過去の自分に対して書いてもあまりいい文章には仕上がりません。一般的には家族や友人に旅の面白さを伝えるつもりで書くと、共感を得られやすくなります。

また書き手の個性というのもあります。わたしはよく「相手の立場で考える」ということを言ってきましたが、最近になって相手の立場になれる人と、そうでない人がいるということを知りました。

小さな頃から何でも買い与えられて、何不自由なく暮らしていた人ほど相手の立場になって考えるのが苦手で、反対に苦労してきた人ほど相手の立場になって考えるのが自然と身についているそうです。

相手の立場になって考えられる人というのは、いつも主体が相手にあります。「この文章では誤解される可能性がある」「この表現では伝わらないかもしれない」と考えながら文章を書くので、ターゲットを細かく絞る必要がありません。何も考えずに好きに書いても、自然と読みやすい文章になります。

ところが、相手の立場になって考えられない人は、ターゲットを絞っていないと、何を言いたいのか、何を伝えたいのかがまったくわからない文章になってしまいます。リライトの仕事を請けるときに、よくこのタイプの文章に出会います。文章を書く技術が未熟で、さらに視点があちこちに飛ぶので、文章にリズムがありません。

わたしは親の教育方針もあって、比較的相手の立場になって考えるのが得意なほうなので、ターゲットはそれほど深く意識しなくても文章を書けます。ただ、それでもまったく意識しないで書いていると、よくわからない文章になるので、ちょっとした工夫をしています。

ターゲットごとに書く場所を分ける

わたしは10年以上ブログを書いてきましたが、最近になってようやくわかってきたのは、文章は書くべき場所があるということです。このような雑記ブログなら何でも書いていいと思ってやってきましたが、それではブログを読みに来た人が混乱をします。

例えば、このブログの読者の多くがランナーですが、このようにライティングについて書いてあると、自分にとって必要のない文章だし、小難しいからもういいやってなってしまいます。だから本来はこのブログはランナーをターゲットにして書かなくてはいけません。少なくともアクセス数を増やしたいなら。

ただ、わたしの場合はランニングの情報発信をこのブログから半分くらい切り離して「RUNNING STREET 365」というサイトを作りました。RUNNING STREET 365では、ターゲットが市民ランナーとはっきりしているので、読み手も迷うことがありません。

他に中国旅の情報に関しても発信していましたが、これは「北京旅人」というサイトに集約しつつあります。これはいずれ台北や香港、上海などのバージョンに広げていくつもりですが、北京に行きたい人にターゲットを絞っています。

他にもいくつものサイトがあり、自分のサイトだけで7サイト運営しています。ターゲットを決めて書く場所を分散していった結果、こんな数になりましたが、こうすることで、書くときにターゲットを深く考えなくても済むようになっています。

RUNNING STREET 365に書くときにはランナーに伝わるように書けばいいだけで、北京旅人の場合には初めて北京に行くという人に伝わるように書けばいいだけです。書き手も迷うことがなくてすっきりとした文章になります。

[adchord]

ビジネスとして書くなら相手が望んでることだけを書く

ターゲットが決まったら、あとは書いていくだけですが、ひとつだけ注意しなくてはいけないのが「どうでもいいことは書かない」ということです。少なくともビジネスとして文章を書くなら、ブログでもTwitterでもどうでもいいことは書かないようにしましょう。

芸能人のブログやSNSに「どこに行った」「何を食べた」みたいな情報がありますが、あれを一般人が真似ても意味がありません。だってわたしがどこに行って何を食べたかなんて興味ないですよね。

もし食べたものがあまりにも美味しくて、誰かに伝えたいなら記事としては成立します。写真を載せてお店の情報も載せておけば誰かの役には立ちます。でも、インスタ映えするような写真をわたしがInstagramに載せても誰もそれを望んではいません。

もちろん、仲間内での遊びとしてSNSを使うのであれば好きに投稿すればいいのですが、ビジネスとして考えているなら、自分を売りたいと思っているなら、ブログもSNSもターゲットが望んでいることだけを書きましょう。当然SNSもターゲットごとに使い分けることになります。

また、間違っても社会に対する批判や不満などを書いてはいけません。ネガティブなこともできるだけ避けましょう。誰もそんなものは望んでいません。望んでいないものを書いてしまうのは、相手の立場になれていない証拠でもあります。

わたしもかつてはそういう文章を書いていた時期があるので、気持ちはわかりますが、そういうのをどうしても書きたいならライターではなく、評論家か作家を目指したほうがいいかと思います。

読み手のために書くべき場所に必要なことだけ書こう

文章は自由でいいんです。ただ、文章をどう使うかについてはよく考えてください。何かを伝えたくて文章を書くのか、自分を表現したくて文章を書くのか。ライターでもこれを混同している人がかなりの数います。

伝えたい:読み手のために書く
表現したい:自分のために書く

どちらが正しいというわけではありません。相手の立場になれる人となれない人がいるわけですから、相手の立場になれるなら読み手のために書き、そうでないなら自分のため書いたほうがいい作品に仕上がります。

自分がどちらに適しているのかよく考えてみてください。そして、読み手のために書くのが得意ならライターを目指してみましょう。そのときに伝えたいことが複数のジャンルに渡るなら、それだけサイトを用意しましょう。

ターゲットが望んでいる情報を、その情報があるべき場所に書く。そうすることで文章を書くときに読み手を自然と意識できるようになります。ただの暇つぶしなら雑多ブログでもかまいませんが、このサイトのようにPVが2万〜3万程度で伸び悩むことになるので、そのあたりは覚悟しておいてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次