お店の呼び込み方法を変えてから、明らかに流れが変わってきました。お客さんがメニューの前で立ち止まってくれるようになりましたし、引き返して列に並んでくれるようにもなりました。やっぱり「いらっしゃいませ」や商品名を連呼しても意味ないんですね。
確かに「いらっしゃいませ」と言えば、お店に活気が出ます。でも「いらっしゃいませ」と言われたくらいでレジに並んでくれるわけもなく。そもそも「いらっしゃいませ」と言う呼び込みはいったい誰が考えたのでしょう。
誰も自分に声をかけられているという意識にもなりませんし、もしかしたら雑音になってしまいます。でも良かれと思ってつづけてきたわけですが、「いらっしゃいませ」をやめてみて気付きました。入店前のお客さんに「いらっしゃいませ」はおかしい。
そしてお客さんは自分で選びたいんです。何を食べるのか、どのお店に入るのかを自分で決めたい。それなのにあれこれおすすめされても不快になるだけですし、強引な客引きは嫌われるだけ。大事なのは選びたくなるような環境を作ることです。
だから私は最大限の笑顔で親しみを込めて「こんにちは」と言います。それも1人1人の目を見ながら。もちろん全員に響くわけではありません。でも明らかにコミュニケーションの回数が増えています。「美味しかったよ」の声も頻繁にもらえるようになりました。
道案内の回数も増えていますが、それは親しみやすさの証。お客さんも自分に向けて言われているのがわかるので、会釈をしてくれる人もいれば「こんにちは」と返してくれる人もいます。この積み重ねがお客さんを呼び込むんだと理解しました。
ではなぜこの方法を誰も採用しないのか。それは思ったよりも高度な作業になるからなのかもしれません。基本的に相手の立場になって考えれないと「こんにちは」での呼び込みはできません。だから、ほとんどの人は同じことをしても「こんにちは」を連呼するだけになる。
それは「いらっしゃいませ」を連呼するのと同じです。私の「こんにちは」は会話のきっかけに近い「こんにちは」です。相手の警戒心を解き、少しでも興味を持ってもらうための言葉。だから毎回声のトーンが違います。
そうやって興味を持ってもらったら、あとはお客さんが決めることです。そこで選ばれないことは当然あります。だって他にも選択肢がたくさんあるわけで、いつも自分たちばかりが選ばれるなんてことは絶対にありません。私が神レベルの呼び込み術をマスターしたとしても、選ばれないことはあります。
難しいのはこの手法を他の人に伝えられないということ。きっと勘のいい人ならすぐに理解できるとは思うのですが、相手の心理を読んだり、相手の立場になって考えたりできる人って、そう多くありません(別に自分ができると自慢したいわけではありません)。
だから、きっと私がやらないとまた元に戻るります。でも実際に効果が出ているのかどうか、1度試してみるのもありです。おそらく明日は最初の15分だけ出ればOKなので、私以外が呼び込みをすることになるので、その結果がどうなるのか。
まったく結果が変わらないという可能性もあります。それならそれでいいんですけどね。でも「いらっしゃいませ」連呼はやっぱり違うかなと。呼び込みはお客さんに話しかけもらってなんぼ。少なくとも私はそう考えています。