何手先まで読んでいるか【積み重ねてきた仕事が作り上げた習慣】

Aという成果を得るために、Bという行動を起こす。これはある程度の教育を受けている人なら、ほとんど誰でもできることだと思います。いや、人間の本能に近いところで誰でもできることです。空腹を満たすために、何かを食べるみたいなレベルの話なので。

でもその次のBという行動を起こしたときに、何が起きるかを考えられない人がいます。Bという行動を起こせばAという成果が得られるじゃないかと短絡的な考え方をするわけです。でも、Bという行動がCというネガティブな現象を引き起こす可能性があるところまでは思いつかない。

これは嫌味でも何でもなく、そんなこと誰にでもできると思っていました。みんながそうしているものだと。だからCが起きないように備えておいたり、Cが起きるというリスクを受け入れたりするわけです。実際に私の場合は、Cは起きることを前提に次の1手を先に考えます。

この世界では、想像できるすべてのことが起きる可能性があります。大地震によって営業停止になるようなことだって起きますし、停電によってレジが動かなくなることも考えられます。ビジネスでいえば、請求した金額が振り込まれないなんてこともあります。

ライターの仕事でも、何年か前に1本分のお金を払わないドロンしたサイトもあります。今年になってからも1月に納品した案件の支払いが滞っているクライアントもいます。そんなものを回収しようとは思いません。そんなことが起きることを最初から想定しているから。

何をするにしても常に先の手を考えます。払ってくれないクライアントのことは過去のことで、前に進んでいるときに後ろで何かあっても、それはもうどうでもいいこと。過ぎ去った景色のことをいつまでも語っているほど暇ではありません。

それがマジョリティなんだと思っていました。でも、そんなにも先のことを考えているのはマイノリティだったことを、多くの人と関わりながら働くようになって知りました。ときどき「みんな不安じゃないのかな」と思うことがあります。

これまでと違うことをするときに、トラブルは必ず起きます。昨日のブログで「Threads(スレッズ)はきっとやらない」というニュアンスのことを書きましたが、少なくともいま手を出すことで、ただめんどくさいことが増えるだけ。そして、先読みをすれば、そこに自分の幸せはないことは明白。

数手先まで読むという習慣が身についたのは、おそらくライターという仕事を8年間続けてきたからです。この仕事は先読みする能力がないと長く続けることができません。先読みしてトラブルを回避しつつ、文章の構成も頭のなかで作りながら文章を書く。前を見ていないライターはいずれ大ケガします。

あとは機械設計をしていたのも大きいかもしれません。装置や設備を設計するときには、必ずメンテナンするときのことを考えてデザインします。このとき、作業者がどのような動きをするか、どのようにして部品交換するかをこちらでイメージしなくてはいけません。

そのためには、どの部品が故障する可能性があるかなどを先読みしなくてはいけません。たとえば装置の場合、センサーが故障することは想定して置かなくてはいけません。だから、センサーを2重に設置したり、メカニカルなストッパーを付けたりします。

そういう積み重ねから、いつの間にか数手先を読むようになり、その感覚で他の人と話をするから噛み合わなくなっているのでしょう。もっとも歩み寄ることはしませんけどね。トラブルが起きてから慌てるような人間にはなりたくありませんので。

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