小さな努力と大きな波【努力や創意工夫とは違うところで成果が決まる】

北海道の飲食店と伊豆高原の宿で働いて確信したのは、個人の小さな努力というのは大きな波の前では無力なんだということ。たとえば北海道ではエスコンフィールドにあるお店で仕事していましたが、売上はファイターズの集客で決まります。

観客動員数で売上がほぼ決まるので、動員予想からその日の売上や客数が見えてきます。もちろん季節変動があり、寒い日と暑い日で売れるものは違います。ファイターズのキャンペーンなども売上に影響しますが、とにかく影響が大きいのが観客動員数です。

伊豆高原の宿の場合は数字を持っているわけではないので、はっきりとは言えませんが、簡単に言えば伊豆高原にどれだけ人がやってくるかで部屋の稼働率は決まります。もっといえば国内にどれだけ人が旅行しているかが稼働率に影響します。

飲食店も宿も、どれだけ頑張ったところで、人が動かないことには来客数には限界があります。この数年はコロナ禍だったわけで、GOTOなどのキャンペーンをしているときは人が来ますが、それでもコロナ禍以前ほどではありません。

なにせインバウンド客がいないわけで、トータルの旅行者数が圧倒的に少なかったわけです。そういう意味で今年から来年にかけては、どの飲食店も宿泊施設も売上を伸ばすことになります。ただどちらも人材不足でフル稼働できない問題もあるのですが。

こうなってくると、個人の小さな努力ってあんまり関係ないように思えてしまいます。もちろん最低限のクオリティや清潔感なども維持する必要はありますが、黙っていても人が来る状態において、過剰なサービスは疲弊につながるわけです。

繰り返しますが「きちんと」することは大事。そのきちんとができないから北海道から撤退したわけですが、あたり前のことをあたり前にできていないと、いずれ客は離れていきます。たとえばファイターズの人気が落ちて、毎試合1万人の集客になったとき、まず苦しくなるのが「きちんと」していないお店です。

インバウンドの流れが止まってしまったとき、またコロナ禍のようなことが起きたとき、最初にお客さんが離れるのは「きちんと」していない宿です。だからあたり前を積み重ねることは大事。でもそれは「努力」でも「創意工夫」でもありません。

そして「努力」でも「創意工夫」をすることで、売上の底上げは可能になります。だから決して無駄ということはないのですが、大きな波の存在を意識していないと「こんなに頑張っているのに……」なんて思ってしまい、苦しくなるわけです。

この大きな波というのは別に飲食店や宿泊施設に限ったことではなく、半導体関連企業でも電波関連企業でも同じようにあります。半導体業界なんかはもろに大きな波の影響を受けるので、どの企業も内部留保をしっかりしておくわけです。

努力が必ずしも報われるとは限らないと言いますが、努力しても大きな波の影響で結果が出ないことは多々あります。そういうときに気持ちを切らさないことが大切。そして、必ず良い流れが戻ってくると信じることも大切です。

そういう意味ではマラソンも同じですね。夏の暑いときに良い結果など出ません。でもそこでモチベーションを下げると秋になって走れない自分に愕然とする。では夏にどうやってトレーニングをするか。そこが創意工夫の領域です。諦めた者ともがいた者、結果は自ずと見えてくるはず。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次