北海道での飲食経験から、伊豆高原の宿では「きちんと作る」をテーマに朝食を担当しています。以前も何度か朝食を担当していましたが、そのときは「作ればいい」でしたが、北海道ではひと手間が大事だと教わったのでそれを活かして作っています。
ただ作っていた以前は、残されることも珍しくなく、いつも残念な思いをしていたのですが、「きちんと作る」に切り替えてから、完食率が大幅にアップした気がします。1泊目に残されてちょっと残念となってしまった人も、「明日もお願い」と言われて2泊目は完食。
昨日は連泊のお客さんで1泊目だけとりあえず朝ごはんを付けてほしいと言われましたが、食べたあとに「美味しかったので明日も」と言われました。こういうのはやっぱり嬉しいですね。そしてきちんと作ることがいかに大切なのかということを実感しています。
結局のところ、みんな美味しいものには抗えないんです。私も美味しいものが好きですし、美味しいと思ったお店には常連にならないように気をつけながら何度も通います(常連ってどこかちょっと恥ずかしいじゃないですか)。
宿を立ち上げた友人は掃除の天才でした。徹底した掃除をしてきたことで、「きれいな宿」というイメージが定着しました。その友人が抜けるということで、次の人が決まるまでということで私が1月末までサポートに入っています。
掃除の天才が抜けるわけですから、これまでと同じようなキレイさを維持するのは困難です。どこか妥協が生まれますし、すでに綻びも見え始めています。ただ、掃除が大事というDNAは宿に埋め込まれています。100点満点はできなくても、ある程度のレベルは維持できます。
ただ、それでは全体の評価は下がってしまうのですが、その評価をできるだけ落とさず、次の人にバトンタッチするのが私の役割だと思っています。そのための方法のひとつが「美味しいものを作る」ということになります。
そもそも料理の評価は高い宿でしたし、以前は十分にすごいんじゃないかと感じていました。でも、それを変えることになったのが北海道での経験です。評価は高くてもまだ伸び代が残されている可能性があったので、そこに力を入れられるのではないかと。
まだ1ヶ月なのでなんとも言えませんが、とりあえず基本的な方針はこれでいいのかなと。詳しいことは企業秘密なので書きませんが、きっとこのスタンスである程度の評価を維持できるはずです。ただ手間がかかるので、まだ完成ではありません。
でも人間ってやっぱりシンプルなんです。胃袋をつかむなんて言葉がありますが、それは宿も同じなのかなと。美味しいと思ってもらえればリピートしてもらえますし、口コミで利用者が増えていきます。どうしたって「美味しい」には抗えないので。
そんなことしなくてもインバウンドの影響で、これから旅行者はまだまだ増えていくのでしょうが、伊豆高原のように星の数ほど宿泊施設がある場合、何か光るものがなければ集客できません。私たちの武器は「安い」「部屋がきれい」「朝食が美味しい」の3点セットで、これならそれなりに光るはず。
本当に美味しいのか知りたい人は、ぜひ伊豆高原の「一本のえんぴつ」までお越しください。まだ自信を持っておすすめですなんて言えませんが、手間をかけて朝食を作りますので、ぜひ伊豆高原まで遊びに来てください。