備えあれば憂いなし【宿の朝ごはんを自分の考えを入れた理由】

私の仕事は宿のオーナーが世界旅行から戻ってくるまで、運営をサポートすることにあります。管理人をしていた友人が辞めることになり、社員が1人だけで回すことになったので、それは無理だろうということで手を挙げたわけです。

なので、友人がやっていたことをそのまま継続するというのがひとつの考え方でしたが、それだと宿の評価が下がってしまう可能性が高かったので、友人がそれほど力を入れていなかった余白をテコ入れしようと考えました。

その余白はいくつかあるのですが、最もわかりやすく結果が出そうだったのが朝食でした。以前から何度か書いてきましたが、人間は美味しいものには抗えません。私が作った料理がどれくらい美味しいかは別として、引き継ぐにあたって、とにかく丁寧に作ることを重視しました。

それと同時にメニューの見直しも行いました。どんなものを食べれば満足するのか。以前は500円でお腹いっぱい食べられるという点が高く評価されていましたが、忙しさもあってクオリティの部分はそこまで重視していなかったように私は感じていました。そこが余白だったわけです。

もちろん、以前も朝ごはんに対する評価は高く、Booking.comでは10点満点がついていたはずです。でも、もっとよくできると考えたわけです。満足のさらに上を目指す。それは驚きになり、喜びになる。そうすれば宿の評価も上がります。

以前、私が手伝いをしていたときに、困ったことが1つありました。それがベジタリアンのお客さんに対して、十分な朝食を出せないということ。基本的に肉のおかずしかなかったので(最近は用意していたようですが)、そこに対する備えが十分ではありませんでした。

それほど機会が多くないから、備えておくと食材が無駄になる可能性もあるので、ここはとても難しいところ。でもインバウンドのお客さんが増えるということは、ベジタリアンのお客さんも増えるはず。だったら、備えられる体制を作っておこうと考え、野菜メニューを増やしました。

これまで付け合せにソーセージを出していたのを、ボテトやブロッコリーなどを出すようにすることで、食材として常に野菜が冷蔵庫に入っている状態を作ったわけです。他にもトマトが常備されているので、これでベジタリアン対応の料理ができます。

また、付け合せ用にマカロニも導入。これはイメージとちょっと違ったので、使い切ったらペンネに変更予定。トマトソースも常備したので、これを使ってベジタリアン向けの付け合せもできます。もちろん普通のお客さんの付け合せにもなります。

そして、いよいよその日が来ました。お客さんが覚えたての日本語で「僕らはベジタリアンです。ベジタリアンの朝ごはんはできますか?」と申し訳なさそうに聞いてきました。もちろん「OK」と二つ返事。ただ内心ドキドキです。なんせ試作もまだしていなかったので。

残さず食べてくれるだろうか、かなり不安でしたが、他のお客さんと同じようにきれいに平らげてくれました。味見用に少し多めに作ったのですが、ちょっと笑えるくらい美味しくて、お客さんの「美味しかったです」が社交辞令ではないと感じてひと安心。

ただ、やはりまだ手間はかかるんですよね。美味しく作るには手を抜いていはいけない。北海道で学んだことなので、そこは省けませんが、他の人でも同じように作れなくてはいけません。ここがずっと課題。とはいえこれでベジタリアン対応もOK。ちゃんと備えておいてよかったというお話です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次